クーデレ姉 外伝


  あの日――学園祭に学校内で、人目も気にしないような濃厚なエッチをしたクリスマスから、はや一週間。あれだけ街を彩っていた聖夜の宣伝は瞬く間に姿を消し、世間は年末ムードへ、そしてそれが過ぎるや新年明けましての雰囲気へと移り変わっていた。
「はぁ〜、落ち着いた正月……あぁ、至福だ……」
  正月を迎えた元旦も過ぎ、時間は午後一時といったところ。
  コタツに入ってミカンを剥きながら、幸せにため息をもらす徹。二年連続の受験勉強があったせいで、こうして机に向かわなくていい正月を迎えたのは久しぶりだった。
  学校はもちろん冬休み、あと数日で始まりはするが、少量の宿題などとうの昔に終わらせている。当然、姉の分も含めてだ。
  そんな精神的余裕が心に、金銭的余裕が懐にあるおかげか、徹の気分はダルダルと緩んでしまっている。ミカンの甘みを舌に感じ、足元から伝わる温もりを堪能していると、ウトウトと瞳が閉じそうになるのもやむないこと。
「おぉ……ふぁ……んっ……ちょっと、寝るかぁ……」
  どの家もだいたい初日はのんびりとし、二日目から親戚への挨拶回りなど行うものだからなのか、早見家のある町内では、この元日から町内新年会を行っている。両親はそちらに行っており、いまごろ母親は酔いつぶれた父親を介抱していることだろう。
  真昼間からそれはどうかと思うが、そのおかげで、こんなだらけた態度でいても注意されることはない。いや、普段から徹が人の倍は苦労していることは知っているのだから、たまの休みにこうしていたところで怒られないはずだが。
(っつーわけで、おやすみなさい……むにゃむにゃ……)
  すでに半分ほど夢に足を突っ込みながら、コタツ布団を肩までかけて、座布団を枕にゴロンと転がる。なにか忘れている気もするが、忘れているということはきっとささいなことなのだろう。正月とコタツ、この黄金コンボを遮るほどの大きな支障でないことは間違いない。と――。
「……そんなわけない。起きなさい徹」
「うぉわぁっ!  あっ、あぁっ、寝てないっ、寝てないから!」
  刹那、ヒヤァッ――と耳に降り注いだ冷たい声音に目が見開かれ、反射的にガバッと跳ね起きてしまう。忘れていた、なんてどの頭が考えていたチクショウ!  と心の中で叱責してから声の主を振り返る。
「忘れてないなら、それでいいけど」
  心でも読んだように、先ほどから的確な言葉を返してくる姉――兼、愛しい彼女である桜花の顔に見惚れながら、徹はコクコクと頷いて返した。
「や、約束だろ?  今日か明日、初詣行くって――」
「そう。だからすぐ、支度して」
  そう言われてからようやく、長い黒髪をポニーテールにくくり、ハーフのダッフルコートに身を包んだ姉が、外出スタイルだということに気がつく。この寒いのに太ももの半分ほどが露わなミニスカートを穿き、けれど肌は見せないように黒ストッキングでしっかりガード。それでも、肉づきのよいムチムチ太ももの魅力に視線を奪われ、ゴクリと生唾を飲み込んだ徹は、ついつい視線を這わせてしまう。
(こ、この見上げるアングルがまたなんとも……)
  スカートの下は黒ストッキングだが、その奥にはうっすらと白色のショーツが透けて見えている。さらに奥に眠る彼女の秘貝の色や形、味と感触まで知ってしまっている徹だが、女性のスカートの中というのはまったく異なる魅力を感じさせてくれた。お腹いっぱいだけどデザートは食べたい、そんな感覚だろうか。
「……と、徹っ、どこ見てるの……目がやらしい……」
「そりゃもちろん、姉ちゃんのオマン――あいでっ!  いたっ、痛いからっ!」
  和室への襖を開いたまま、廊下の寒気を室内へ送り込みつつ、黒ストに包まれた桜花の柔らかな足裏が顔を踏みつけてくる。彼女としては制裁のつもりなのか、それとも目隠ししようということなのか。どちらにせよ額を踏まれて後頭部が畳に擦りつけられるのは、髪の毛が絡まって地味に痛い。
「っつーか、明日でもいいんだろっ?  今日はこんな寒いしさぁ、明日にしねぇ?」
「……ん」
  姉が足をどけてしゃがみこみ、携帯の画面を向けてくる。そこには母親からのメールが開かれており、色々あって夜まで帰れないとの旨が書かれていた。
「で、それと初詣とどういう関係が?」
「お母さんたちが帰ってこないのに、徹と二人っきりでいたら危険……」
  俺は狂犬かなにかか、と突っ込みたくなるが、それを言えば彼女は間違いなく肯定してくるだろう。
  あの学園祭のあと、帰った二人を待っていたのは、急用で両親がいなくなった真っ暗な自宅だった。親が翌々日まで帰らないことを知った徹は、興奮冷めやらぬままに桜花を押し倒し、廊下で、お風呂で、部屋で――それこそ足腰が利かなくなるまで、思いっきり彼女を愛してしまったのだ。おかげで、姉のベッドのシーツはぐしょぐしょのドロドロ、一部など搾れるくらいに濡れていたのを思いだす。
  もちろん、彼女も嫌がってはいなかったはずなのだが、あまり夢中になられても困るということだろうか。それからも家で二人っきりになることを、姉は意識して避けようとしている素振りがある。徹は徹で反省したのだから、そろそろ警戒を解いてくれてもよいものなのだが。
「はいはい、わーっかりましたよ。鬼の生徒会長には逆らいませんて」
「……鬼じゃない、優しいお姉ちゃん」
  相変わらず抑揚ない声だが、ムスッとした響きが滲んでいた。これ以上逆らっても、機嫌を損ねてもいいことはない、名残惜しさを感じつつもコタツから脚を抜き、冷えた空気の中に立ち上がる。
(ま、新年早々に姉ちゃんと初デートっても悪くないな)
  とりあえず着替えてくるから待ってて、と言い残して部屋に戻ろうとする。もちろん、すれ違いざまに頬にキスしようとしたのだが、様々な武道経験のある桜花には体捌きだけで回避されてしまった。しかし頬を赤く染めた、ちょっともったいなかったかな、という姉の顔をチラリと確認できたので、よしとしておく。
「ん?  あ、そういえば姉ちゃん」
  そうして今度こそ着替えに向かおうとしたところで、ふと気がついた疑問を口にする。
「なに?」
「いや、さっきのオフクロからのメール。俺に見せなかったら、オヤジたちいつ帰ってくるかわかんねぇし、手ェださなかったと思うんだけど」
「…………あっ」
  しまったという顔をしてから、けれどすぐに表情を澄まして一言。
「そ、そんなことない……徹は、そんなくらいで我慢なんてできない」
  ジトッと半目で睨みつけられたので考えてみると、徹の脳内会議でも同じ結論だった。
                                      ◇
「うっひー、やっぱ寒ぃっ!  姉ちゃん、そんな脚だして寒くねぇの?」
「……寒い、けど……お参りしたら、どこか入ればいいから……っ」
  元日の午後ともなれば、神社は相応の人混みで溢れていた。それでも吹きすさぶ寒風は肌に痛く、二人は腕を組んでぴったりと寄り添い、人垣をバリケードに参道を歩く。
  そんな人垣の中には、カップルもいれば家族連れもいる。何人かの女性はやはり正月ということもあってか、華やかな晴れ着に身を包んで、寒そうにしながらもしずしずと歩みを進めているのが見えた。
(姉ちゃんも着ないのかな、あぁいうの似合いそうなんだが……)
  今日は長めのポニーテールにしているが、桜花の長い黒髪は和服との相性は最高だと思う。艶やかで毛先までキューティクルが残り、どんな形に結っても、ほどけばすぐにサラサラのストレートに戻る美しい髪だ。
(それをまとめて……そうそう、あんな感じにアップにしてさぁ?)
  別の、同い年くらいの女の子が晴れ着を纏い、髪をアップにしている姿を目で追いながら、姉のそんな姿を想像する。そんな桜花と二人で参拝し、寒そうにする彼女を連れて暖かい場所へ――もうその段階で、どこに連れて行くのかは想像に難くない。
(着物、着たままとかで……うぉぉっ!  やばい、これはかなり興奮するっ!)
  見知らぬ少女をやや血走った視線で見つめていることに気がつき、慌てて逸らす。逸らした先は当然、隣を歩く姉のミニスカ&ハーフコート姿だ。年末に一度、年始に備えての買いだしがてら、短いデートのようなことはしたが、私服の彼女と歩く機会はそれほど多くはない。付き合いだしてからだけではなく、それ以前からもだ。
(うん、私服の姉ちゃんも可愛い……しっかし惜しいよなぁ。昔っから、もっと見る機会はあったはずなのに、良さに気づけたのが今更とは……)
  あれだけ姉のことを毛嫌いというか、苦手意識を持っていたのだから仕方ないとはいえ、今後は弟としても彼氏としても、彼女の服にはしっかり注視していようと密かに決意する。言うなれば、今年の抱負というやつだろうか。
(――とはいえ、これはこれでもったいない……)
  そう思うのは、よく似合っている私服のことだ。ヒラヒラとたなびく頼りないスカートと、その裾からスラリと伸びた黒タイツに包まれる脚は非常に魅力的だが、せっかくのハレの日なのだから、それらしい装いを見てみたかったという気持ちも少なからずある。
「……なぁ姉ちゃん?」
「ん、なに?  寒い?」
  言いながらさりげなくさらに寄り添った桜花が、腕を絡ませたまま、徹のコートのポケットに手を入れて、こちらの手を握ってきた。彼女は手袋をつけているが自分は素手、そのため柔らかい毛糸の感触に指がじんわりと温まってくる。
  さらに桜花はそのままある程度こちらの指を揉み解すと、手袋を外し、しっとり肌の指先で手の平も甲も、指の一本一本までを撫で回してくれた。
(ふぉぉ……あったかい上に、なんか、気持ちいいっ……ってか、エロい!)
  思わずゾクゾクッと快感が込み上げ、お尻の奥を震わせながら背筋を伸ばしてしまう。そんな徹を見て桜花が微笑む、滅多に見せてくれない姉の柔らかな笑みにドギマギしながらも、徹は誤魔化すように目を逸らして口を開いた。
「や、そ、そうじゃなくてさ。ほら、あぁいうの……姉ちゃんも、晴れ着って持ってなかったっけ?  ばあちゃんとこから送られてきてさ、昔は着てたろ?」
  と――そう口にした瞬間だった。
  もちろんそんなつもりはない、そんなつもりというのは晴れ着の女の子はいいなぁ、なんて無節操な感情のことだ。徹はそもそも、姉との行為を始めてからは他の女子をいいなと思ったことさえない、桜花の一挙手一投足に常に目を奪われ、彼女と肌を重ねることをなによりも楽しみにしていたのだから。
  しかしそれを知らない桜花にしてみれば、そんな事実に意味などない。徹の発言が、晴れ着の女に目を奪われた彼氏のヒドイ一言に聞こえたならば、それが彼女にとっての唯一の真実に他ならないのだから。
「……そう、晴れ着がいいの。お姉ちゃんとデートしながら、晴れ着の女の人ばっかり見て、そんなことを考えてたのね」
「へ?  いや、違うけど……っていうか、そんなことまったく……」
  姉の僅かな口調の変化に気づくのが遅れたのは、あまりに寒い空気のせいで、頭の回転と耳のアンテナが鈍っていたせいだ。そのせいで、姉の勘違いを正そうと、徹は軽い口調で口を開いてしまう。
  そんな少しの対応の遅れが、姉の逆鱗へさらに不用意に接触してしまった。
「――それに、私が晴れ着を着なくなったのは徹のせい。中学のときに、徹が全然似合わないって言ったから着るのをやめたのっ……そんなことも忘れたの、徹はっ……」
「えっ――ちょ、ちょっと待った!  俺、そんなこと言ったっけ、マジでっ?」
  姉へのフォローを口にするより先に、徹はつい過去の記憶を手繰ろうとしてしまう。自分がそれほどに姉を傷つける発言をしたのか、そうだとしたらなんと謝ればいいのかと考えるために、状況を思いだそうとした、ただそれだけの理由だったのだが。
「っっ……もういい、徹なんて知らない……そのまま好きなだけ、晴れ着の女の子でも眺めてればいい……バカッ……」
  怒ったというよりは、へそを曲げたという感じだろうか。それでも姉の不機嫌は相当深いらしく、人混みの僅かな隙間をすり抜けて、瞬く間に徹から距離を取ってしまった。
「あっ、お、おい!  待てって、姉ちゃ……桜花!  おい!」
  ポケットから遠のく温かな感触を追いかけ、慌てて手を伸ばす。けれど冷たい空気を撫でるばかりで、空を切った手をすり抜けて姉の手は遥か彼方、幾重にも並んだ人の壁の向こうへと消えてゆく。
「やっべ……ってそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!」
  姉が通った程度の隙間さえなく、ぴったりと閉じた人垣に猛然と突っ込みながら、徹は悲痛な声で怒鳴るように叫んだ。
「ちょ、ちょっとすみませんっ!  通してください!  か……彼女に、怒った彼女に逃げられたんですっ、謝りに行かせてくださいっっ!」
  さすがにそこまですれば、情けを持った参拝客たちは苦笑いしつつ、あるいは渋々といった様子で場所を空けてくれる。情けなく恥ずかしいことは確かだが、それでもあの状態の桜花を放っておくこともしたくはない。
(だ、大丈夫、たぶんかなり拗ねてるだけだから……フォ、フォローできるしっ……)
  そうは思いながらも一抹の不安を拭いきれないまま、よけてくれた人々の頭を下げ、参道の小石を踏み鳴らして徹はひた走るのだった。
                                      ◇
「くっそ、どこ行ったんだよ……っっ!  あれかっ!」
  そうして五分ほど、脇道の多い参道を駆け回って、徹はようやくそれらしい人影を視界に捉えた。だが問題は、その周りに嫌な雰囲気のチャラそうな連中が集まって、いまにも姉に手を伸ばそうとしている、ということ。
  髪の色は茶色やら金やら赤やら、いかにも遊び慣れてますという風体の男四人。ヘラヘラと笑いながら、桜花の進路と退路を塞ぐように、道の端で彼女を取り囲んでいる。
「……どいて。私は参拝に来たの」
「え〜、いいじゃん別にさー」「そうそう、どうせ一人だろ?」「だったら俺らと行ったほうが楽しいって」「っつか、どっか遊び行こうぜ、な?」
  あ、やばい――と思ったのは、姉の雰囲気と目つきが一瞬にして切り替わったことだ。以前、学園の女子をナンパ男から助けた際も、同じようなことがあったに違いない。幼いころから道場に通っていた彼女は、武道をやめたいまでも、そこらの男よりは数倍強いのだ。腕力では敵わないかもしれないがスキルは別だ、彼女を侮った態度を見せている男四人など、瞬く間に昏倒させられるのは間違いない。
  とはいえ、相手が実際に弱いかどうかは不明だ。どちらにせよ、姉にこんな場所で荒事をさせるわけにいかないし、そもそも彼女が男に絡まれているのを見過ごせるはずがなかった。すぐさま助けなくてはと、反射的に身体が動く。
「っ!  あんのバカッ……は、俺か……くそ!」
  ジャリッと地面を蹴りつけてダッシュし、参拝客が眉をひそめつつも誰も注意しようとしなかった、ナンパ男どもの囲いへ駆け寄る。
「桜花、大丈夫かっ!」
「あ、徹っ……」
  徹を目にした瞬間、彼女の目に安堵のような色が映り込んだ。ポケットの中で拳が握り締められていたように思われたが、それをほどいたのが、脱力した肩の動きで察することができる。全身から柔らかな空気を漂わせ、桜花が徹に視線を向けた。
  そんな桜花と男たちの間に無理やり身体を捻じ込み、立ちはだかって男たちを睨む。
「すいませんね、こいつは俺の彼女なんで。それとも、なにかありましたか?」
「ちっ……んだよ、男連れか……」「いいじゃん、こんなヒョロいのやっちまおうぜ」
  そんなことを口にするナンパ男どもを見て、徹はさりげなく足幅を整える。やや前傾になって、右手に体重が乗せやすいように片足を前に、小さく腰を落とす。
  姉の才能には遠く及ばず、組手等でも姉に虐げられるのですぐにやめてしまったが、徹だって空手の経験だけはあった。真面目な性格のため反復練習も苦ではなかった、そのおかげで身についた技の数々は、いまでも身体が覚えてくれている。
「っっ……い、いや、行こうぜ……」「だ、だな、なんか雰囲気が……っ」
  手をだすようなら容赦はしない、そんな言葉を視線に変え、もう一度だけ男たちを睨む。しばし逡巡していたように見えた彼らだが、やがて危機を察知したように後ずさりし、ある程度の距離を離れると踵を返し、参道の奥へと逃げ去って行った。
「ふぅぅ……助かった、さすがに四人相手はキツいからな」
  じんわりと滲んだ額の汗を拭い、背後に隠した姉を振り返って、その顔を覗き込む。
「っと……大丈夫か、姉ちゃ――おわっっ!」
  僅かに身体を低くしたその瞬間、首筋に彼女の腕が絡みつき、柔らかな肢体がギュッと寄せられる。抱きつかれたことに気づいたのは、その状態で数秒経ってからだった。
「徹、ありがと……ちょっと怖かった……」
「ちょっと、かよ……ま、無事でよかったよ」
  よしよしと背中を撫でてやり、肩口に埋められる彼女の唇から安堵のため息を感じながら、こちらもホッと胸を撫で下ろす。
「ごめんな、姉ちゃん……俺、そんなに姉ちゃんを傷つけてたこと、忘れてて……」
  姉の言葉がないので、そのまま抱きしめたままで話し続ける。
「中学のときって言ったよな?  そんときの俺は、本当に姉ちゃんのことが苦手だったと思う……姉ちゃんはそれくらいから、ずっと俺のこと想ってくれてたけど、それにも気づいてなかったから……姉ちゃんのこと、素直に認められなかったんだ」
「……ん、いいよ。徹がそうなったのは、私のせいだから……私こそ、ごめんね」
  その謝罪は、一方的に怒って走り去ってしまったことに対してか、それともそこまで姉のことを嫌いになるほど、弟を奴隷のように使役していたことに対してか。
  いや、と徹は首を振る。そのどちらであったとしても、徹は姉のことを怒ったりはしない、謝罪の必要もない。
「俺のほうこそゴメン、けど一個だけ言い訳させてくれ……」
  髪を梳きながら頭を指先で撫でると、耳元に艶めかしい姉の吐息と、ンッという上擦った声が響いた。下半身に血液が流れ込むのを感じつつ、徹は小声でささやく。
「ほかの女の子の晴れ着なんて見てない。晴れ着は見てたけど、姉ちゃんが着たら誰よりも似合うだろうなって思っただけなんだ、本当に。それに、昔の俺が姉ちゃんに似合わないって言ったんなら、それはさ――」
  彼女の腰と背に回した手に力を込め、キュッとより強く抱き締める。
「本当に似合ってて、めちゃくちゃ綺麗だったってことだよ」
「……バカッ、徹のバカッ……そんな嬉しいこと、いま言わないでっ……」
「えっ……はうっ!  ね、姉ちゃんっ、なにっ……くふぅっ!」
  軽く頭が上げられたかと思うと、すぐさま温かな粘膜の感触が耳に触れた。それが桜花の唇だと気づいたのは、耳朶を吸い上げられて、トロトロの唾液を塗されながら、ねっとりとした舌使いで舐め回されてからのことだった。
「はむっ、んちゅ……そういうことは、えっと……その……」
  はにかんだように声を詰まらせ、コクンと喉を鳴らした音を響かせてから、彼女が小さな声でささやいた。
  ――ベッドの上で、ゆっくり聞かせてちょうだい。
                                      ◇
「はぁっ、はぁっ……んじゅっ、れりゅぅぅ……じゅるるっ、ちゅっ、ちゅばぁ……はぁぁ、姉ちゃん、可愛い……世界で一番、可愛いっ……大好きだっ……ちゅぅぅ……」
「んぅぅぅっ!  はぁっ、やぁっ……んっ、あっ、とお、るっ……んふぅっ!  はぁっ、だ、めぇ……そんなに吸ったら、あ、跡、残っちゃ……んくぅっっ!」
  家に帰るまで我慢しよう、そう思っていたのは参拝を済ませるまでだった。
  桜花と合流してからは、最初のようにポケットで手を握り合ったまま歩いていたせいか、それとも抱き合っていた影響か、はたまた耳への愛撫で火が点いたのか。ともかく先に我慢できなくなった彼女のほうが、帰る道すがら、もじもじと太ももを擦り合わせつつ、誘惑するようにささやいてきたのである。
『ど、どうしよう、徹……私、もう……』
  言葉はそれだけだったが、うっとりと蕩けた彼女の瞳、桃色に染まった頬、言葉とともに絡みつく吐息の厚さから、姉がどんな状態にあるのかは手に取るように察することができた。見せつけられるその態度だけで、徹も理性のタガなど完全に外れてしまい、ポケットで触れ合う手をキュッと握って、近くのホテルを探して駆け込んだというわけだ。
(よかったっ……近所の神社じゃなくて、結構離れた神社に来てて、マジよかった!)
  ダラダラと溢れだす桜花の唾液を啜り上げてキスをかわし、頬にも首筋にも熱烈なキスマークを残しながら、細い姉の肢体を抱き締めてそんなことを思う。なにしろ、近所の神社ならすぐに自宅でこういうことをできただろうけれど、それだと親がいつ帰ってくるかという不安を抱えていなければならない。
  せっかくの初詣だからと脚を伸ばしたおかげで、知り合いの視線を気にすることなく、こういったホテルに入ることができた幸運には感謝しなければ。ここなら、桜花がどんなに声を響かせても、どれだけ時間をかけて愛し合っても、なにかを気にかける必要はまるでないのだから。
「んっ、あっ……はふっ、んぅぅっ……ひぅっ、んぁっ、はぁぁっ……」
  優しくベッドに押し倒すが、唇だけはけして離さない。唇を吸い上げるようにジュルジュルと音を鳴らし、キスを繰り返して、彼女の顔はもう徹の唾液でベトベトだった。
「はふぅぅ……んむちゅっ、ぢゅぱっ、じゅるっ……ちゅるぅぅっ、ふみゅっ……んはっ、とお、りゅ……ふぁふっ、あみゅっ……んぷぁ……」
  肩肘で身体を支え、手の平で桜花の頬を優しく撫で、耳を指先で擦る。すぐさま蕾のような小さな彼女の唇が綻び、甘い嬌声がもれ溢れる。耳朶を撫でるその声にゾクゾクと背中が痺れ、浮かせた腰の中央では牡の昂ぶりが痛いくらいに躍動していた。
「姉ちゃん、最高っ……ほんっと可愛い、声も顔も性格も……一生離さないからな、あむっ、んじゅるぅぅっ……ぐっちゅ、じゅぶっ、じゅぶるるぅぅ……んっ」
「んぅぅっっ、はぷっ、あみゅぅっ♪  んっ、うれ、ひぃ、徹ぅ……んちゅっ……」
  唇を離し、ささやきながら舌だけを伸ばして、彼女の口元に唾液を滴らせた。それを嫌がるどころか丁寧に舐め掬い、閉じた唇でクチュクチュと音を立てる桜花。嬉しそうに瞳を細め、頬を緩める姉の表情に興奮を煽られてたまらずもう一度口づけると、しっかりと味わった唾液が、コクンと鳴った喉奥に嚥下されてゆくのがわかった。
「んぅっ、はむっ、んっく、んくっ……んっ、ふぁっ……はぁぁ……」
  自重に潰れる乳房に手を添わせながら、コートの下に着ていた彼女のセーターとブラウスをめくり上げる。室内は暖房が効いているから、肌蹴させても桜花は寒そうに身を竦めもせず、徹の手の動きに合わせて腰をくねらせ、まるで自分からいやらしい部分に触れさせるように、豊乳を揺らして身を寄せてきた。
  柔らかく、温かい肌の上に手を這わせると、徹の手が少し冷たかったのか、桜花がピクッと身を捩って鼻息をもらす。けれど意識を逸らさせるようにキスしたまま、舌をくねらせて唇をネロォォッ……と舐め上げると、それだけで感極まったように姉の肢体が跳ね上がり、両手が背中に絡みついてギュッと抱き締められた。
「んひゅぅぅっ……ふぁ、とお、りゅっ……徹っ、もっとぉ……はぁむっ、あむぅぅ……んちゅっ、ちゅばぁぁ……ひゅき、らのぉ……とおるっ、好きぃ……ん〜っ……」
  簡易なブラウスのボタンを外し、セーターと一緒に胸の上までめくり上げる。薄い黄緑色の可愛らしいブラが、その内にたっぷりと詰められた淫肉を揺らして、タユゥンッといやらしく揺れ躍った。染みもくすみも、ほんの小さなホクロだってない真っ白な肌、そこに指を滑らせるだけで柔らかな肉感が跳ね返り、その男を誘うような感触に、興奮が下腹部を突き抜けてゆく。
「はぁんっっ!  んっふ、ふぁ……あむっ、じゅるぅぅぅ……ぐじゅぷっ、じゅぶっ、じゅろぉぉぉ……くちゅっ、ぴちゅ……ふぇ、はぁぁ……」
  軽く開かれた唇を舌先でこじ開け、桜花の甘い舌を絡め取り、ジュルジュルと卑猥な音とともに吸い立てる。舌を引っ張られて苦悶の声をもらしているのかと思ったが、彼女の熱に浮かされたような顔は官能に染まり、目尻が垂れた女の表情を見せていた。
「はむっ、ちゅぅぅぅっ……んぷぁっ!  はぁっ、姉ちゃん、気持ちいいっ?」
「んぅっ、んっ……うんっ、いいっ……徹のキス、甘くて、素敵……蕩けそう……」
  唾液の糸がツゥ……と糸を引き、濡れ光る唇が艶めかしく言葉を吐く。甘い吐息が鼻先をかすめ、ズボンの中で暴発してしまいそうなくらい、牡欲が高まってしまう。
  めちゃくちゃに犯してしまいたいという獣欲が込み上げるとともに、優しく愛してあげたいという想いも湧き上がる。選んだのは後者だけど、前者も捨てがたい。そんな感情に突き動かされ、彼女の口から滑らせた唇であごを擦り、首筋を吸い、指を絡めて手を握ると、服をめくり上げた素肌に顔を埋めて舌を伸ばした。
「んぇおぉぉぉぉ……へぇろぉっ、れろっ、れろぉぉぉ……んじゅっ、ちゅっ、ちゅむぅぅぅっ……じゅるっ、じゅるぅぅっ……れりゅっ、じゅぶるぅっ……」
「んひきぃぃっっ!?  ふやっ、はぁんっっ!  あひっ、とぉ、りゅっっ……んぅぅっ!」
  肌にキスマークを残しながら、肌蹴させた鎖骨から肩、脇腹をなぞってへそへと唇を這わせる。唇だけでなく舌を大きく広げて舌の腹全体で、彼女のスベスベの腹を撫でることも忘れない。温かく柔らかな感触が程よく跳ね返り、舌が柔肉に揉まれて蕩けそうなほど気持ちがいい。
  しかも舐め回すたびに、舌先には彼女の仄かな汗の味が広がって脳髄が痺れ、もっとその味を吸うように唇を押し当てると、頭上からは甘い嬌声が途切れなく響いてくる。
「んひゃうぅぅっ!  はぁうっ、あぅっ、んきゃうっっ!  あっ、ひっ……ひぁぁっ!」
「んれりゅぅぅぅ……んぅ?  どうした姉ちゃん、おっぱい苦しいのか?」
「そっ、りゃっ……ち、がぁ……んくぅぅっ!  とおりゅっ、バカァッ!」
  彼女が感じていることは明白なのに、気づかない振りをして可愛らしい罵倒を受けながら、そんな桜花をたまらなく愛おしく感じる。そして先ほどから彼女が身を捩るたびに頭にタプタプと当たっている豊乳の感触に、理性も限界に達しようとしていた。
「そ、そんなっ、な、舐め、なぁ……あぅっ!  んっ、はぁぁ……もうっ、き、聞きなさい……んぅ、はぁっ、ふやぁぁ……」
  浮いた腰から手を差し入れ、ブラのホックを慣れた手つきで外す。抗議めいた口調で、桃色に染まった瞳をこちらに向けていた姉はそれで諦めたようにため息をつき、ベッドにフワリと身体を横たえた。もう片方の手は指を絡ませたまま、ブラを外した手をスカートの奥に潜り込ませつつ、徹は溢れこぼれた豊乳に唇を寄せてゆく。
「やっぱ大きい、ほんっと綺麗……姉ちゃんの胸だったら、ちっちゃくても大好きだったろうけど……こんだけデカいの、可愛がりがいあるって……あむっ、んじゅるっ……」
「んふぅっ!  あっ、んっ……はぁんっ、あっ、っと、おるっ……んぅぅっ!」
  盛り上がった乳丘の裾野をやや垂らしながらも、美しいお椀型の乳房を揺らすその頂点は、薄桜色のニプルがツンと上を向いて、可愛らしく恥じらうように震えていた。舌を這わせて唾液を伝わせるや、姉の上半身が弾み、白い乳肉がタプンッと撓む。それを胸板ごと押さえるように顔を押しつけて乳首を口内に包み、唇を窄めて勢いよく吸う。
「あむじゅぅぅぅっっ!  じゅるるっ、ちゅぶっ、んぁっ……れろっ、へぇろぉぉぉ……おむぅっ、ちゅるるっ、じゅるぅっ……くちゅっ、じゅむぅぅ……」
「んっきゅうぅぅぅっっ!?  あっひ……ひゃっ、ぐっっ……んっ、と、とお、りゅっ……あうぅぅっっ!  んぃっ、いつも、よりぃっ!  はげ、しっ……いひゃうっっ!」
  歯先にニプルを挟み込み、甘く噛み転がしながら引っ張り上げると、たっぷりと詰まった柔肉の重みが口元に伝わる。固定され、下に引かれる乳首から伝わる感覚に桜花は喘ぎをもらし、腰を捩って悶え上げるが、それはけして苦しげではない。
「はふぅぅっ……んっ、あんっっ♪  はぁっ、あっ……んぁぁぁっ、はぁんっ♪」
  放した乳房が胸板に落ちるたびに、甘い吐息が溢れ、腰を打ち上げて姉の身が擦り寄ってくる。自分を信頼し、身を委ねているということがその仕草と声からも、キュッキュッとリズミカルに握られる手の平からも伝わり、心の奥まで温かくなれるようだった。
「はぁっ、んぁぁ……はうぅっ!?  あんっ、くっ……ふぁぁっ!」
  散々、乳肉ごとニプルを可愛がったあとにはじっくりと、舌先で尖った乳首を柔肉へ沈めるように押し込み、グリグリと潰すような刺激を送り込む。姉の体臭が胸の谷間から、汗と入り混じって濃厚な牝の香りとなって立ち上り、鼻をくすぐる。服の中でビクンッと大きく弾ける欲棒の感触に理性を奪われそうになりながらも、手の中の姉の感触が蕩けてゆくまで念入りに舌を這わせ、唾液を塗りたくりながら愛撫を繰り返した。
「はむっ、んれろっ、んぇぇぇ……えぇぇぉぉっ……れりゅっ、じゅるぅっ……」
「ひゃうんっっ!  んはうっ、はぁっ、くあぁぁ……あくっ、くふぅんっ!」
  姉の声音に熱っぽさがこもり、組み伏せた身体が切なげに跳ねる。その声に耳朶を打たれて背筋を痺れさせる、その一方で熱く火照る彼女の股間の湿りを感じ、さらに夢中になって舌をくねらせた。
  限界まで硬く尖っていると思っていた乳首はさらに屹立し、まるで徹の舌を跳ねのけようとするように、ツンツンと舌の裏を押し上げる。唾液と汗の混合液にジュルジュルと粘糸を引きながら、押し捏ねる乳首を乳肉の奥へ埋め戻す。そのたびに桜花の声は甲高く跳ね、手の平を這わせてゆっくりと揉み解す股間には、もはや誤魔化せないほどの水気が染み広がっていた。
「んはうぅぅっ……はふっ、あぅっ……んっ、んあぁぁぁっっ!」
  ――ツプッ、ジュブゥッ……グッチュゥゥゥ……ニチュッ、チュプゥゥゥ……
(うっわー、グッショグショ……まだ十分ちょっと、乳首苛めただけだぞ?)
  正確には十五分以上も、乳首だけを重点的に責めていたのだが――ともかく。
  手の平を這わせるだけでも、すでにスカートの奥の黒タイツ、さらにその奥深くから粘り気のある淫らな水音が響き渡る。姉の耳にも届くように少し強めに太ももの間を押し捏ねると、さらに甲高い水気がグチュッ、グッチュゥゥッ!  と響く。空いた手で姉が懸命に耳を塞ごうとするが、片手ではどうしても、両耳を塞ぐことはできない。
「ふぁうぅぅぅっ!  んぁっ、やらっ、やっ、ひゃうぅぅっ!  んぅっっ、と、とおりゅっ、やっ……音、は、恥ずか……んぅぅっっ!  恥ずかしいっっ……んひぃっ!」
  姉の抗議を抑え込もうと、指を尖らせて秘部の入り口を、二枚の布越しに突いてやる。ビクンッと腰が跳ねてたちまち脱力し、太ももをだらしなく開いて姉の肢体がベッドに崩れた。それを見計らって乳首に音高く口づけ、ようやく唇を遠ざける。
「ごめんごめん、ほら姉ちゃん、腰上げろよ。脱がすぞ……うおっ……」
  クッタリと腰をベッドにつけ、微かな身じろぎで浮いたお尻の下に手を入れて、ショーツごとタイツを引きずり下ろす。すぐさまニチャァァ……と布と粘膜を愛液で繋ぐ音が鳴り響き、姉の白肌がカァァッと真っ赤に染まった。
「え、いや、嘘……だって、まだ胸しか……あたっ、姉ちゃんっ、やめっ――」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!  ばっ、ば……バカッッ!  徹のバカッ、へっ、変態っ……こ、こんなの、だって……」
  見上げると、涙目になった姉がブンブンと脚を振って頭を足蹴にしながら、耳まで真っ赤に染まった顔を手で隠し、その隙間から睨んでくる。
「徹に、キ……キス、されて……弄られたら、仕方ないっ……」
  ささやくような熱い声音、睨んでいた瞳は怒りというよりも、拗ねるような甘えるような感情を湛えて、ひたすらに蕩け潤んでいた。羞恥に染まる顔を隠そうとする仕草、痴態を見ないでほしいという乙女心、けれど自分のすべてを知ってほしいという恋人の本心をすべて直視してしまい、徹の胸は一瞬にして姉への愛おしさで満たされてゆく。
「ね……ねえ、ちゃ……姉ちゃあああぁぁぁぁ――んっっっ!」
「えっ、きゃあっっ!?  と、徹、落ち着い……んぅぅっっ!  はぁっ、んっ、もぉっ!」
  腰と背中を抱き締め、熱烈な口づけを浴びせる。唇を取り込むようにキスをして、唾液塗れにしながら何度もそれを吸い、しゃぶり、レロレロと舌で舐め回してゆく。
「はみゅっ、んじゅるぅっ……はぁっ、姉ちゃんっ、好きだっ……愛してる、愛してる桜花っ……俺の、桜花ぁっ……んちゅぅっ、ちゅぶっ……」
「んんぅぅっ……ふみゅっ、ぷぁっ、わ、らひもぉ……んちゅっ、ちゅぷっ、れろぉぉ……はぁっ、好きぃ……徹、大好きっ……んちゅっ、ちゅっ……」
  塊になるほど大量の唾液が口端から垂れ、彼女のあごから喉へと伝う。まくり上げた服が濡れ汚れていくが、お構いなしで涎をまき散らしながらキスをしても、桜花は嫌がるどころか徹の頭を抱き、彼女自身も舌を絡ませて徹を愛撫し、腰を突き上げて剥きだしになった股間を押し当ててくれた。
「はぁっ、んぷぅぅっ!  んじゅっ、じゅるっ……じゅるぅぅぅぅぅぅっ……んっぷ、ふぁっ、ふぅぅぅ……こんなに濡れたのに、放っておくの?」
「っっ……んなわけねぇだろ!」
  脱ぐのももどかしいというように、引き千切るようにしてズボンと下着を同時に脱ぎ捨てる。へそを指すように屹立した剛直が、彼女の半裸体と艶めかしい表情を見てさらにビクビクッと躍動し、先端をヌルついた透明牡液に湿らせてゆく。
「あっ、ふぅっ……んっ、徹のも……す、すごい……逞しいよ……んっ」
  うっとりとした女の表情で姉にペニスを見つめられ、羞恥と興奮がざわざわと背中を這い上がってゆく。萎えるどころかますます硬くそそり立つ肉棒の根元を掴むと、目で確認することもなく、目測たがわず先端を彼女の濡れそぼった秘部へ押しつけた。
  ――クチュゥッッ……グチュッ、ニチュクゥゥゥッッ……ジュルッ、ジュブゥゥ……
「んくふぅっっ……ふあぁぁぁんっっっ!!」
  熱々の、炙られた肉塊のように牝脂の乗った媚肉に、肉棒の先が包み込まれてゆく。軽く押し当てただけなのに、乳責めとキスだけでトロトロになった牝穴が開ききり、徹の牡を求めて涎を流し、大口を開いてむしゃぶりついてくる。
「くぉっ、あっ……すっげ、まだ挿れてないのに、近づけただけでこれかよっ……」
  触れた瞬間、淫肉が蕩けて崩れるように緩み、熱い雫をタラタラと吐きこぼして、柔襞が裏筋を舐めながら亀頭を咥え込んだ。焦らすようにゆっくりと腰を引いていくが、一度目をつけた獲物を逃すまいと桜花の牝口が引き伸び、亀頭の粘膜にチュウチュウといやらしい口づけを浴びせてくる。
「はゆぅぅんっ!  んっ、はっ……徹っ、そんないやらしく、挿れないでぇ……」
「へっ、やっ……いや、これ姉ちゃんのほうがっ……あっぐ、くぅぅっ!」
  唇で亀頭だけを挟むようにしゃぶりつく、そんな感触に似た快感に下半身が痺れ、腰が止まったその瞬間、桜花が腰を小さく浮かせて淫裂を徹に押し当ててくる。すでに肉棒の先をパックリと咥えていた蕩肉襞は、そのままジュルジュルと淫涎をペニスに塗しながら、啜り上げるようにゆっくりと牡槍を、奥へと誘い込んでゆく。
  ――グッチュ……チュグニュゥゥゥッッッ!  グジュブッ、ジュルッ、クチュゥゥゥッッ……グプッ、ヌプゥゥゥンッッ……
「んっひっっ――あっ、うっ……〜〜〜〜〜〜〜っっっ!?  やっ、らぁ……徹っ、み、耳っ……塞いでっ……塞ぎなさぁいっ……くああぁぁんっっ!」
  熱い潤みを大量に湛えた、トロトロの牝穴を蹂躙されるなり、粘膜の擦れる卑猥音が部屋中に響き渡る。羞恥に耳を真っ赤にし顔を覆った桜花がそう訴えるが、恥じ入る彼女の姿は徹の獣欲を誘うだけだった。
「なに言ってんのさ、姉ちゃんが腰浮かせて、俺のチンポ咥えたんだろ。こんなエロい音立てて……ほんっと、スケベだよなぁ?  ほら、ちょっと動かしただけでこれだもん」
  ――グプッッ、ヌプゥッ、ヌポッ、クチュゥゥッッッ!  グッチュッ、グチュッ、グジュルゥッ!  ジュブジュブジュプッ、グチュンッッ!
「んひあぁぁぁっっ!  あっひっ、ひゃっ、な、膣内ぁぁ……あぐっ、くひあぁぁっ!  あひっ、んっ、こしゅっ、こしゅれりゅぅっっ!  硬いのっ、オチンチンの傘ぁっっ!  あたっ……当たってるっ、上の、とこぉぉ……コリコリッ、ひっ、してりゅぅっ!」
  顔と額を抱えるようにして頭を振り乱し、自らの秘唇の状態を明け透けに叫んで、快感に姉の腰が跳ね上がる。ほんの二センチほどの抽挿を、十数回繰り返しただけで。
「なぁ、わかってる?  姉ちゃんのマ○コの奥、もう煮詰まったシチューみたいにトロットロだぞ?  それなのにさぁ、こんなチンポに絡みついて吸いついて、全ッ然離してくんねーっての。マジでスケベすぎ」
「んくっ、うっ、あうぅぅっっ……んぅっ、ごめっ、んひゅぅぅっっ!?  ごぇっ、ごめ、んっ、ね……徹っ、エッチな……エッチなお姉ちゃんで、ごめんっ……ふやぁぁんっ!」
  息を乱しながら、涙をポロポロと流し、それでも感じることを押さえられないという様子で、喘ぎ交じりに謝罪を繰り返す桜花。その姿が可愛くていじらしくて、背筋がゾクゾクと痺れっぱなしだった。脳からの快感信号をキャッチし、ペニスの根元がグツグツと煮込まれたように熱く火照り、精液が奥底から込み上げる。その欲望を、歯を噛み鳴らしてグッとこらえると、徹は勢いよく腰を突きだして彼女の腰肉にバチンッッ!  と打擲音を響かせた。
  ――ズッチュッッ……グプンッッ、ジュップゥゥゥゥンッッ!
「んくっっ、あひぃぃぃぃんっっっ!?  いひぁっ、あひっ、ひぐっ、イグぅぅぅっ!」
  ビクビクビクッッと腰を跳ね上げ、背筋を仰け反らせた全身を震わせる姉が、はしたない嬌声を張り上げる。その耳元に口寄せ、小さくささやきかけた。
「……なに謝ってんだよ。それがめちゃくちゃ可愛いって言ってんの。そんな桜花が、誰よりも好きだって言ってんだよ、このっ……淫乱姉ちゃん!」
  ――グジュッッ、チュニュゥゥゥゥゥッッ……ブッチュ、グップゥゥッ!
  もう一度、腰を大きく引いて膣肉を引っ掻くような角度で思いきり肉棒を抜く、そして間髪入れずに腰を押しつけて、肉棒の半ばまでを膣内に埋めてやる。
「んくふぅぅぅっっっ!?  いひぃぃっ、あっ、はっっ……はぁっ、んっ、うっ……う、うれひ、いっ……うれひぃぃ……とおりゅっ、らい、しゅ……きっ……大好きっ……」
  キュッキュッと膣肉が締めつけられ、段々になった肉壁がペニスを根元から扱き上げてくる。熱く蕩けた淫粘膜が肉棒に絡み、熱々の牝蜜を塗して、フランクフルトを頬張るようにクチュクチュとペニスを食み、咀嚼して奥へと誘ってゆく。根元から引っ張られ、その間も絶え間なく扱かれる感覚に腰が砕け、自分が組み伏せている姉に犯されているような錯覚を覚えてしまった。
  思わず唇を引き締め、射精感をこらえる。そして姉に主導権を渡すまいと自らの脚で姉の太ももを持ち上げると、姉の股間が真上を向くような体勢を強いて、上から押し込むようにペニスを突き立ててゆく。
  ――グッチュゥゥゥゥンッッ!  チュムッ、クチュゥゥンッ、グッチュ……ジュボォォォッッ……ヌチュンッ!
「あぐぅぅぅうんっっ……んぁっ、はっ、ひゃぁぁんっっ!  あひっ、ひぁぁぁ……」
  埋没しても引き抜いても、膣内に触れている部分の肉棒は常に熱い快感に晒されて、腰が引けるほどの心地よさだった。根元まで沈める、それを引っ張り上げるだけでも、気を抜けば尿口が開かされ、ビュルッと精液が噴きこぼれそうになる。そうなるのをこらえるように強く腰を進めると、姉のよがり声とともに彼女の腰がガクガクと跳ねた。
「くひぃぃっ!  あんっ、あっ、ら、めぇぇ……んぐっ、くふぅぅんっっ!  んぁっ、ま、まらっ、は、いっへ……んくっ、あぁぁっっ!  だめぇっ、イクッ……イ、クッ……んっっ、あぁぁっっっ!  イクッ、イクぅぅぅ――っっ!」
  締まりのいい膣壺がペニスを抜かれると同時に引き締まるも、それが戻りきったのを狙って再び開拓し、均して押し開いてゆく。圧迫感に膣襞を、ザラつく柔肉粒のビッシリと詰まった熱々の蜜肉を引っ掻かれて姉は容易く声を蕩かし、焦点の合わない桃色の視線を漂わせて、ビクビクンッッと心地よさそうに尻肉を震わせた。
「はぐっ、おっ……くっ、姉ちゃん、すげっ……あぁぁっ!」
  姉の身体が弾けたように跳ねる、そのたびに膣肉が断続的にうねり、肉棒が蕩けるような快感に包み込まれる。根元が締めつけられ、膨らんだ肉幹が捩られるように吸われ、腰を使っても使われてもいないのにねちっこく扱き立てられているようだった。
  それでも徹は腰の動きを止めず、今度は桜花の膣奥を重点的に捏ね回し、広がった肉傘でその周りの蕩肉を突き上げる。いや、体勢からすれば突き下ろすというのが正しいのだろうか。
「んひゃうぅぅぅっっ!  あぐっ、くぁっ、ふやぁぁっ!  あひっ、ひぃぃんっっ!」
  腰を打ちつけると、体重がそのまま肉棒に乗って膣肉を貫き、子宮の入り口がグニィッとひしゃげるのが、先端の敏感な粘膜から感じられた。白い喉を晒し、頭を支点にブリッジする体勢で桜花が仰け反り、膝をカクカクとはしたなく揺らす。
  ――グップ、ジュブジュプッ、グチュヌゥッ……ヌルンッ、グチュッ、グチュ……
「くひぃぃぃぃんっっ!?  んひぃっ、ひきっ、ひあぁぁんんっっ!  いひぃぃっ!」
  隙間なく、子宮口を亀頭で塞いで小刻みに腰を振り、ゴツゴツと粘膜を振動させるように肉棒で叩く。短いストロークながら、限界まで膨張し、広がりきった粘膜傘と肉幹が、絡みつく膣襞を引き延ばしながら膣内を掻き混ぜる。徹のペニスも溶け落ちそうなくらい気持ちよく、すぐにでも吐精してしまいそうなのだから、これだけ蜜液を溢れさせる桜花の感覚も容易に察することができる。軽く引くだけで白く濁ったトロトロのエキスが膣肉から溢れ、太ももを伝い、あるいはシーツにバタバタッとこぼれ落ちていた。
(くっあ……きっもち、いっ……いいっ、めちゃくちゃっ……)
  離れてはすぐに当たり、粘膜襞を震わせる刺激を受ける子宮口が、欲棒で突つくたびにトロトロと蕩けてゆくのがはっきりとわかる。亀頭を捏ね返すような弾力が、次第に吸いつくような甘い刺激に代わり、さらに押し捏ねるうちにその奥の蓋が開いて、わかりやすいほど熱烈な、淫涎塗れの口づけへと変化する。
  ――ヌブッ、グジュブッ、ジュルゥゥゥッ、クッチュッ、ヌチュゥッ!
  中途半端に脱がせているせいで、お腹にめくれたミニスカートや膝に引っかかる黒タイツにまで、彼女の透明の雫が染みを刻んでゆく。互いの鼻にもはっきり伝わる甘酸っぱい牝臭は完全に衣服にこびりついて、身体を捩って抽挿を繰り返すたび、さらに濃密になっていた。
「ねっ……ちゃんの、マ○コっ……やばすぎるっ、くっ、あぁぁっ!」
  その芳醇な香りに誘われて腰を引き、そして押し込む。絡みつく蜜液はいつまでたっても熱々のまま、まるで生きているかのようにペニスに絡みついて、粘膜襞と一緒になってペロペロとペニスをしゃぶり嬲ってくる。根元までをキツく締めつけて扱き、裏筋を柔らかく蕩けた肉壁で擦られると、それだけでお尻の奥が緩み、精液を引っ張りだされるような感覚に陥る。膣内を一擦りするたびに、頭の中で何度も快感の炎が燃え盛り、肉棒が吐精を求めてビクビクッと跳ね震えた。
「んはうぅぅっっ!  あっ、と、おるのっ……徹のぉぉっ!  んぅぅっっ!  んなっ、なかっ、れぇぇ……ひぅうっ!  あひっ、はっ、はね、へぇえっっ!」
  牡の昂ぶりを直接粘膜にぶつけられ、姉の腰がくねくねと艶めかしく揺れる。それに合わせてベッドに横たわる身体も捻られ、散々に弄り回した豊乳がいまだに乳首を硬く屹立させたまま、タプンッ、モニュゥゥッ……と白肌を揺らして踊っていた。
(エッロ……エロすぎるだろぉぉっっ!  あぐっ、やっば……もっ、イクッ……)
  視界に揺れる姉の豊乳、甘い香りと心地よいスベスベ感の両立した魅惑の双丘を拝み、前立腺がゾクゾクッと痺れてしまう。こらえきれないほどの射精欲を感じ、徹は夢中になって腕を伸ばし、揺れる乳房を鷲掴みにする。
「はひゃあぁぁぁっ!?  んぃぃぃっ、らめっ、しょれっっ、ひゃめぇぇっ!」
  ――フニュゥゥゥンッッ、クニュッ、ムニュゥゥッ!
  柔らかく潰れ、けれど確かな弾力が跳ね返り、桃色に染まる蕩肌に手の平が沈み込む。そのまま本能のままに、牡欲を満たす柔肉を揉みしだきながら、腰を振り立て、姉の奥深くまでを自らの屹立でミッチリと満たしてゆく。勢いに任せたように大胆に激しく、けれど愛しい恋人の膣内を味わい尽くそうとするように、蕩けきった蜜壺を余すところなく掻き擦り、何度も何度も新たに溢れる牝粘液を吐きこぼさせる。
  ――ブッチュゥゥゥゥッッ、グチュッ、ジュップ、グチュブゥゥッ!
「んきっひぃぃぃ――っっ!  いひぁっっ、らめっ、あぐっ、んまっ、まらぁっ……ひぐっ、あいぃぃぃぃっっ!  んぃぃっ、イクッ、イクのぉぉぉっっ!」
  ゴチュンッッと子宮口を押し潰すほどの圧迫に、桜花が美しい黒髪を振り乱し、爪先がキュキュッと可愛らしく丸まって縮こまる。僅かな硬直ののち、ビクッ、ビクゥンッ!  と切なそうに身を跳ねさせ、湯気になるほど熱い吐息を吐きながら、両手を脱力させた姉の顔が晒された。
「んぅぅっ、はぁっ、あぁぁぁ……んふぅっ、くっ、あぁんっ……はぁぁっ……」
  そのあまりに淫らな、艶めかしい牝の顔に徹は思わず息を飲む。
  髪はほつれて汗塗れの額や頬に絡みつき、目尻は完全に垂れ下がって、瞳を潤ませながらも目の周りには涙の跡がいくつも浮かんでいた。唇を閉ざす気力もないのか、伸びきった赤い舌が覗き、唾液と吐息が同時にこぼれている。たまらず唇を寄せると、彼女も徹の気配を感じてくれたのか、嬉しそうの頬を緩め、蕩けた唇でチュゥッと吸いついた。
「はぁっ、んむちゅっ……んぁぁ、徹ぅぅ……ふみゅんっ、んちゅっ、ちゅぱっ、れろぉぉ……んぅっ、しゅきっ、らいしゅきっ……絶対、離さないからぁ……んっちゅ……」
「んじゅるっ、ぐっちゅ、れりゅっ……ほんらの、俺も、らっての……じゅるぅ……」
  互いの舌を絡ませたまま、淫粘膜のほうも熱烈に擦り合わせる。身体を支えるのも辛そうな姉が楽になるよう、正常位に戻って抱き合い、唾液交換しながらの激しい抽挿。
  ――グジュッッ、グッチュニチュッ、グプゥゥゥッ、ジュブゥゥンッ!
  だが、鍛えた体力と身体の頑健さの賜物か、桜花の美麗な脚は力を失うことなく徹の腰を抱き締め、肉棒が膣壺を満たして奥まで捻じ込まれるよう、背後から強く腰を押しつけてくる。しかも絶頂直後で感極まった彼女の膣肉は最奥を犯されるや、激しい蠢動を繰り返して肉棒をしゃぶり、扱きながら熱烈なキスで吸い上げてくる。
「くぅはっっ……あっ、お、俺も、もうっ……ぐっ、くぉぉぉっ!」
  最後の一突きとばかりに、豊乳を掬うように持ち上げて乳首を摘み上げながら、媚肉を貫通するように思いきり腰を突きだす。パチュゥンッッと小気味よい肉の打擲音が響き、腰がぶつかり合う。互いの粘膜に擦れて熟れた果実が潰れたように、甘酸っぱい蜜汁が夥しく飛び散って二人の腰回りを、真っ白なシーツをグショグショに濡れ汚してゆく。
「ひきゃぁぁぁんっっ!  あひっ、ひぃぃぃんっっ!  んぁっ、はあぁぁ――っっっ!」
  狭く窄まって肉棒を食む膣壁に、先端から根元までを余さず扱かれてゆく。柔肉粒に擦られる感触にペニスがわななき、快感が粘膜を伝って精嚢に、前立腺に、そして背筋をゆっくりと這い登って、熱く蕩けた脳髄へ達した。刹那――。
「姉ちゃんっ――桜花っっ、イクッッ!  奥にっ……全部、だすぞっっ!」
  ――ドクゥゥゥッ、ビュクビュクビュクゥゥゥッッ!  ドビュルルッ、ビュゥゥッ!
  膣奥から染みだした熱い蜜粘液に肉棒が蕩け、さらに肉襞に優しく包み込まれ、牡欲の堰が決壊する。自分の下腹部すべてで煮え滾っていた、熱々蕩々の精液を直接吸われているような吸引感、それでいて最上の愛情を伝えてくれるような優しい抱擁感をペニスに感じ、粘膜塊が彼女の牝壺で溶かされているようだった。
「んくひゅっっっ、んひっっ、ひぐぅぅぅっっっ!  あああぁぁぁっっ、イクうぅぅぅぅ――っっっ!  んぃっ、しゅきっ、しゅきぃぃっっっ!!」
  そんな姉の絶頂を伝える喘ぎに、耳と背筋がゾクゾクと快感に痺れてゆく。
(くっ、はっっ、あぁぁぁぁ……めっちゃ、出てるっ……気持ちよすぎっっ!)
  放出のたびにペニスが爆ぜ、所狭しと胎内で暴れるように、ビクビクゥッと跳ね躍る。手の平の中で押し潰す柔乳の感触が射精を助け、何倍にも気持ちよくして、その感触と姉の表情でさらに精液の濃さと量が増してゆく。
  ドプドプッと牡槍をポンプ代わりに精液が吐きもれ、子宮口をピッタリと塞ぐ亀頭の先を大きく膨らませて、姉の子宮を満たす。自分でもわかるほど熱く、粘度の高い牡欲のマグマが姉の粘膜襞に触れるたび、彼女の喉奥から切ない嬌声が響き渡った。
「きゃふぅぅぅっっ!  んひっ、ひぁっ、あはぁぁぁ……あくっ、くぁぁんっっ!  んぅっ、徹っ、あっ、はぁぁぁ――っっ!」
  乳房を揉みしだき、片手で腰を支えて引き寄せながら、最後の一滴までを搾ろうと腰を小刻みに揺らす。擦れるたびに姉の肢体が反り返り、腰に巻きついた脚の先が弓のように曲がってキュンキュンと小刻みに震え、快感を訴えていた。
  ――ドップドプッ、ドビュルッ、ビュクッ、ビュゥゥッ、ビュルルゥゥッ!
  尿道を精液の塊が押し開き、胎内に注がれるたびに桜花は絶頂を迎えているのか、何度も何度も下腹部を跳ねさせ、表情を淫らに崩して喘ぎを放つ。その姿を見て、下半身を這い回る快感に理性を蕩かされながらも、徹はたまらなく彼女が愛おしくなり、強く抱きしめてその唇を吸い上げた。
「桜花っ、桜花ぁっ……んちゅ、ちゅっ……ちゅぅっ、れろっ……はぁむっ、んちゅっ……ちゅばっ、ちゅっ、ちゅぅぅ……んっ、好きだ、本当に……っ」
「んぅっ、はぁむっ……んちゅっ、んぅ、わら、ひも……んっ、ん……?」
  不意に、桜花の声が不審にひそめられ、幸せそうに細められていた瞳がうっすらと開かれた。どうしたのかと思うより早く、彼女の表情が驚きに染まり、見開いた瞳で至近距離にこちらを見つめながら、徹の頬を優しく撫でてくる。
「え、ど、どうひ、ら……んちゅっ……ん、姉ひゃ……んひゅっ、ちゅむぅ……」
「バカ……どうしたも、なに……んっ、もぉ……ちゅぅっ、ちゅぶっ、れろぉ……泣くことないよ、徹……」
「は――」
  なに言ってんだ――と口にしかけ、けれど同時に自分の頬を撫でて、ようやく気がついた。どうしてなのか、自分が一筋の涙を流して、姉を抱き締めていることに。
「あ、れ……これ、なんで……」
  訳が分からない、そう思いながらも自問して、すぐに答えをだすのは、徹が自己の分析能力に長けていたからだろう。姉の姿を見て愛おしくなった瞬間、そんな姉を傷つけ、困らせ、怒らせたことを思いだしたのだ。その自責の念が、こんなにも愛おしい彼女を傷つけた事実を許せず、悔しさから涙を流させていたらしい。
「ほら、泣かない……男の子でしょ、徹は……」
「お……う、か……姉ちゃん……姉ちゃんっ、姉ちゃんっ……うんっ、ごめん……ほんと、ごめんっ……姉ちゃん、好きっ……好きだよ、姉ちゃんっ……」
  髪を撫でてくれる、その優しい手つきに感謝し、またも涙が溢れそうになるのをなんとか我慢する。そんな徹の努力にも、そしてそもそもの涙の理由にも気がついているはずの桜花は、少し強く抱き返してくれ、耳にささやいてきた。
「ん……大丈夫、私も大好きだから……なにも怒ってないし、徹にだったら……いつどこで、なにをされても平気だよ……ずっと、ずぅーっと……一緒にいるからね」
  まだペニスを抜かず、繋がったままで、桜花の誘ってくれるままにベッドに身を横たえ、抱き合ったまま布団に包まる。
「寒くない?」
「うんっ……うんっ……」
「そう、ならこのまま……あとでまた、してもいいからね」
「……うんっ……」
  姉の問いに対して、そんな答えしか返せないのが恥ずかしく情けない。けれどそれでも、桜花はそれこそが望んでいた答えとばかりに、褒めるように徹の頭を撫でる。そして慈愛に満ちた表情で、優しく口づけをくれた。
「姉ちゃん、優しい……昔から、ずっと……ずっとだよな、本当にっ……」
「そう……今頃気づいた?  遅いよ、徹……ふふっ、でも嬉しい」
  きっとこの先、徹は桜花に敵うことはないだろう。けれど、彼女を傷つけないよう守っていくことは、徹にしかできないことだ。
(姉ちゃん……俺もっと、しっかりするからっ……強く、なるからさっ……)
  だから徹は、今この瞬間に今年の抱負を決めた。姉を――恋人を一生大事にして、支えて、守り抜こうと。
  その手始めにまずは、姉の大事にしてきたものを、引き継いで守ろう――と。
(――新学期の、いつだっけか……生徒会の選挙って……)
  そんなことを思いながら、姉の腕に抱かれ、うとうとと微睡に落ちていった。


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