蒼き魔女リヴィア 外伝 後編−1


                                      ◇
「んっ、はぁぁっ……はふぅ、んふっ……はぁぁ……」
  地面に横たわるリヴィアの白い肌が、呼吸に合わせて微かに上下する。透けるほどに薄い衣服も白濁に塗れ、その汚れは髪にも顔にもこびりつき、四肢の指先に至るまで、ほとんどの箇所がドロドロに汚されていた。
「ふ〜、抜いた抜いた……っとぉ。へへ、こいつぁすげぇな」
  そんな少女を犯し抜いた男たちの一人が、精液風呂に浸かったようなリヴィアと、その隣で同じくらいザーメン塗れになったマントを見て、ニタニタと笑う。山のように硬貨が積まれてはいるが、それらはすべて銅貨。十日ほどの生活費にすれば、すぐにでも底を尽きてしまう程度の額でしかない。
「こんだけ稼げれば、お嬢ちゃんも満足だよなぁ?」
「おまけに欲求不満も解消できたってわけだ。まったく商売上手だねぇ」
  それでも男たちはそう声をかけて嘲笑い、まだ汚れのついていないリヴィアの肌や衣服でペニスを拭って、自分たちだけは服を整える。それらの言葉を聞き、そして仕草をしっかりと見つめながら、地面に伏した魔少女はグッと唇を噛み、屈辱に苛まれていた。
(こん、な……こんなヤツらに、抱かれて……あんなにっ……)
  抱かれたことと、その対価があまりに安価だったことは、イリーシャ様の命令なのだから諦めるほかない。けれど主人の暇を慰める余興だったのなら、そこそこに感じるだけでよかったはずだ。だが実際は前後不覚になるほど感じさせられ、喘ぎ、相手を満足させるまでに何度となく絶頂してしまった。
(イリーシャ、さま……んっ、申し、わけ……ありません、こんな……醜態をっ……)
  主人への忠誠と貞淑を、暴力的な牡欲の嵐によってすべて吹き飛ばされたように思え、消えてしまいたくなるほどの羞恥に襲われる。そして、そのことが原因で彼女の捨てられてしまったらと考えると、さらなる恐怖に背筋が震えさせられた。
「さーて、俺はもう一回やらせてもらうとするか……」
  そんなリヴィアの感情をまるで気にすることもなく、当然の権利を行使するように、射精し足りなかった男たちが再び近づいてくる。
(っ……いいわよ、こうなったら……とことん付き合ってやろうじゃない……)
  グッと握った拳で身体を支え、上体を起こそうとする。だが、そんなリヴィアに男たちが性器を押しつけるよりも早く、路地に粗野な女の声が響き渡った。
「やれやれ、随分と勝手な真似をしてくれたもんじゃないか。ウチの縄張りでさぁ?」
「――っっ!?  お、おいっ、いまの声……」
  聞き覚えがあったのか、すぐ傍まで近づいていた男たちが慌てふためき、急に少女から距離を取り始める。
「レディ・ミランダの声じゃねぇか!  どういうことだよっ……」
「ウチの縄張りって……まさか、この嬢ちゃんっ……」
「ミランダのとこの女じゃねぇってのかっ?」
(えっ……なに、どういうこと……ミランダって……?)
  風俗業界に馴染みのないリヴィアは知らなかったが、世にあるほぼすべての職種にギルドがあるように、風俗産業についても非合法ではあるが、娼婦ギルドと呼ばれるものが存在した。同じく非合法として存在する盗賊ギルドの下部組織にあたり、その構成員の幹部が、街ごとの商売女を管理しているのである。
  つまりミランダという女はここの元締めであり、娼婦たちの所属する娼館のマダムだというわけだ。そんな彼女の、通りのいいアルトボイスが人垣の向こうから聞こえる。
「――そのまさかさ。ほらどきな、この街でこれからも、女を買いたいならね」
  店に登録していない女をこのまま相手にするなら、二度とウチの女は抱かせない――という脅し文句に、男たちは波が引いたように遠ざかってゆく。割れた人垣の奥から、十人以上の女を引きつれて姿を見せたのは、風格漂う背の高い女だった。
  短い金髪をショートのボブカットに切り揃え、瞳は切れ長でしかも大粒だ。濃厚な化粧で肌の衰えを隠してはいるが、相当な美女には間違いない。胸元の開いた紫のドレスからこぼれる豊満な乳房は、長いピンヒールで地面を踏み鳴らすたびにタプタプと大袈裟なほど揺れ弾み、年齢を重ねた女だからこそ見せられる色香が感じられた。
  ヒップやウエストには少し余分な肉がついているようだが、それでもボディラインはギリギリのところで崩れていない。いまでもその美貌と身体で男を誘えば、相当なロリコンでもない限り理性を崩されて、彼女に溺れてしまうことだろう。激しい露出に加えて、金のネックレスや毛皮の襟巻きを着けた派手さも、女を金で買うような男にとってみれば好ましい魅力になっているはずだ。だが――。
(……はっ、下品な女ね。同じくらい肌をだしていても、イリーシャ様の高潔さと気品に比べたら、月とミミズくらいの開きがあるじゃない)
  それは一般論に過ぎないとばかりに、リヴィアは心の奥で畏れ多くもご主人様と比較し、目の前の女を散々にこき下ろす。そんなリヴィアの考えを知ってか知らずか、視線の合った女はニヤリと唇を歪め、間近にまで歩み寄ってきた。
「宿にも入らずこんなとこで盛りつくなんて、どこの牝犬だい?  こっちにも商売のルールってもんがあるんだよ、それを乱してウチの縄張りで客を取ろうなんて……小娘の分際で、ちょいと調子に乗りすぎたねぇ」
  男たちを遠巻きにし、女たちを従えて女王気取りのミランダを睨みながら、リヴィアはなんとか上体を起こして返す。
「ふんっ……あんたとこの女が、あたしと比べるべくもない魅力だってことでしょ。それを棚に上げて、人のせいにするなんて……プロが聞いて呆れるわ」
「あぁ、そりゃそうさ。ウチはこれでも上質の女を扱ってるからね。あんたみたいな格安の変態と比べられちゃ、たまったもんじゃないよ」
  女元締めの言葉に、娼婦たちが一斉に笑いを上げる。言い返してやりたかったが、股間から精液を溢れさせ、全身からも牡臭をプンプンと撒き散らした最低の格好では、なにを言っても説得力がないと唇を噛むしかなかった。
  黙りこくったままのリヴィアの姿に溜飲が下がったか、余裕たっぷりの笑みを浮かべてミランダが女たちを振り返って声高に問いかける。
「やれやれ、素直に詫び入れりゃ許してやってもよかったんだが……さぁて、あんたたちはどうしたいんだい?」
「ミラ姉さん、こいつにお仕置きしてやりたいんだけど」
  一人の女が即座に応えると、ほかの女たちも次々と同意し、声を上げる。
「賛成!  こっちの邪魔しときながら、私たちに魅力がないなんて……許せないわ!」
「安売り女のくせに、この生意気な態度……しっかり躾けてやらないとね」
  数に勝るせいか、女たちは一様に嗜虐的な笑みを浮かべ、ジリジリとリヴィアを取り囲むように移動する。万が一にも逃がさないように、ということだろう。
(ふぅん、お仕置きねぇ……このあたし相手に、やれるもんなら――ぁっ)
  相手が害意を露わにしたら、すぐに魔法で薙ぎ払ってやろうと思っていた矢先、リヴィアはあることに気づいて硬直する。魔法の媒体――昔使っていた杖ではなく、師でもある主人から授かった魔法石の填まったリングが、いまは指に装着されていなかった。
(そうだっ……あたしを買う相手を、無意識にでも攻撃しないようにって、イリーシャ様が預かってくださったから……)
  魔法の力がなければ、エリート魔法士だったリヴィアといえど、少し体捌きができる程度の少女に過ぎない。しかもいまは、激しい陵辱の直後ということもあってまるで体力が残されていない、完全にガス欠状態だった。
(まずっ……くっ、落ち着いて……こういう場合は、どうするか……)
  素直に謝る、などという選択はあり得ない。考えるのはここからどうやって逃げおおせるか、その一点のみ。けれど走ったところで数十歩も持たずに失速し、止まったところを捕まってしまうだろう。なにか使えるものを探そうにも、売春婦の客待ちしている路地に、そうそう有用なものなど転がってはいない。
  いいアイディアなどまるで思いつかないまま、背中に冷たい汗が伝う。そんな少女の様子に気づいたミランダは、底意地の悪そうな表情で顔を覗き込んできた。
「おやおや、どうしちまったんだい?  急に青ざめて、凄い汗じゃないか……当てにしてた切り札が、上手いこと働かなかったって感じだねぇ」
「――っ!  さぁ、どうかしらね……警告しといてあげるけど、なにかするつもりなら気をつけたほうがいいわよ。大怪我しないうちにね」
  懸命に表情を取り繕ってブラフを口にするが、人生経験と駆け引きにおいては、アングラな分野で生き抜いてきた相手のほうが上だった。リヴィアの言葉を一笑に付した彼女は左右に控えていた女に目配せし、少女を捕らえる指示を口にする。
「んぅっっ……こっの、放しなさい!」
  そもそも力の入らない両腕を、それぞれ別の女にしっかりと掴まれ、完全に逃げ場がなくなった。それでも態度を軟化させずに女元締めを睨んでいると、生意気な小娘が見せる足掻きが心底楽しいとでもいうように笑いながら、ミランダが化粧粉とチーク、それにルージュの濃厚な香りを漂わせて間近に顔を寄せてくる。
「ふふっ、いいザマだねぇ。いったいなにに気をつければよかったんだか……あぁ、そのきったない身体に触って、汚れないように注意しなってことだったのかい?」
  嘲笑に合わせて周囲の女たちが声を高くして笑い、左右で腕を捕らえた女たちも、クスクスと少女を馬鹿にしきった笑い声を響かせる。あまりの悔しさに歯噛みするが、大人の女に押さえられていては腕を暴れさせてもビクともせず、徒労にしかならない。
「さぁて、それじゃあお待ちかねのお仕置きといこうかねぇ」
「誰も待ってないわよ、この化粧ババ――んぐぅぅっっ!?」
  ドスゥッと鈍い音とともに、強烈な衝撃がリヴィアの腹に食い込んだ。ミランダの拳だと気づいたその直後、さらに二発の殴打が加えられ、酸っぱい吐き気が胃袋の奥から込み上げてくる。無様は晒すまいとなんとかそれを飲み下してこらえるも、瞳を鋭く尖らせて怒りの形相を見せる女元締めに、あごを凄まじい力で掴み上げられ、頬を押し込むように口を無理やり開かされてしまう。
「はがっ、あっ……んぉっ、は、はりっ、ひゅるのぉ……ほぉっ!」
「減らず口はもう飽きたんでね、ちょいと黙っててもらおうかい。さぁて……ほら、こいつがなんだかわかるかい?」
  張りつけのようにされたリヴィアの眼前に、ミランダは緑色の液体が詰まった小瓶をチラつかせる。その内から伝わるピリピリと肌を刺すような感覚は間違いなく、魔力の痕跡だった。
「っ!  魔法薬……ほんらもろ、どこれ……」
「ほう、見ただけでわかるとはね。元々はそっち方面の仕事だったのに落ちぶれて、趣味と実益のために身体売ってるってとこかい」
  現役で魔法に触れてるのよ――という言葉は飲み込んでおく。ミランダにしてもそこまで興味はなかったのだろう、返事を待つでもなく、コルクを外した瓶の口を、歪に開かれたリヴィアの唇に近づけてきた。
「ふくっっ……あがっ、ま……待ち、なひゃい……こんらっ、なんの効果かわかららい、もろをっ……」
「毒ではないはずさ、安心しな。ともかく、飲んでみりゃわかる……」
「いひゃっ、らっへ……んぐぅぅっっ!?  うっ、あ……あぐっ……」
  顔を捻ってよけていると、頭までしっかりと押さえられ、口内に瓶を突っ込まれた。逆さにされ、微かに粘ついた薬がドロリと流れて口内を満たし、やがて喉奥にまで滴り落ちていった、その刹那――。
「んっ……んんぅぅぅ――っっ!!  ふぅっっ……んっ、はっ、あぁぁんっっ!」
  唇を引き締めようとしても、女元締めの大きな手に無理やり開かされ、まるで声を抑えられない。それは胃臓から全身に広がる奇妙な熱と、身体の芯に突き刺さる、鈍い肉悦の刺激によるものだった。
(ふぎっっ……んっ、こ、この、感覚ぅっ……んっ、に、肉体変化っ!?  あのときのと、すごく、似て……くふっ、ふぁぁぁっ!)
  乳房を豊乳に作り変えられたときと同じ、ゾクゾクゾクゥッと背中を這い上がる痺れに、下半身がたまらず揺れる。女たちに支えられていなければ立っていられないくらい膝がガクガクと跳ね、脚の付け根には熱い疼きが注ぎ込まれているようだった。
「くひぃぃっ……いひゃっ、らめっ、こぇぇっ……んきっ、きひゃっ、ふっ……んやぁぁぁぁ――っっ!」
  後ろから蹴り上げられたように腰が前に跳ね、熱い迸りが股間の奥で弾けたような、狂おしいほどの快感にみっともない空腰を振ってしまう。頭の中はトロトロの蜜で満たされたようになにも考えられず、淫熱がこもって思考もまとまらず、身体中がフワフワと浮かんでいるような浮遊感に包まれていた。
(んぁっ、はひゃっ、ら、らんれ、こへぇ……んぐっ、ふくぅぅぅっ……)
  薄布の衣装に絡んだ精液が、ビチャァァ……と淫らな音を響かせて、肌にいやらしい感触を伝えてくる。先ほどまでは、過度な快感で感覚がマヒしてしまったかと思うほどに落ち着いていた肉体が、まるで絶頂直後のような敏感さに戻っていた。肌という肌が濡れた布の感触に擦られて痺れ、女たちの手の熱さや吐息の触れる刺激だけで、全身が強張ってゆく。
(もひっ、かひてぇっ……んびっ、びや、くっ……っ?  け、けど、それだけじゃ……んくぅうっっっ!  ひぐっ、はっ、んはぁぁぁ……)
  意識を離れ、勝手に暴れ回るリヴィアの身体を女たちが強く押さえつける。その感触にもさらなる快感を覚え、唯一自由の利く下半身が激しく震えた――その瞬間だった。
「ひぎぃぃっっ……いぁっっ、ひきあぁぁぁぁ――っっっ!!」
  魔少女が獣のように叫び上げたのが合図となったように、女たちの視線がすべて、リヴィアの股間に集中する。
「えっっ!?」「こ、これって、まさか……」「なに、本物っ?」
「ほぉう……聞いてた通りとはいえ、ふふふ……これは驚いたねぇ」
  周囲の女たちの戸惑いの声と、ミランダの興味深そうな声音に、リヴィアもなにがあったのかと意識を引き戻された。快感に蕩かされながらも、下腹部に――いや、股間に張りつくような違和感を覚えて目を凝らす。
(ひっ、あぁ……いっらひ、なにぃ……んっく、はぁ……あぁっっ!?)
  霞む視界に自分の下半身を捉え、思わず息を呑む。目を疑って頭を振ってみるが、それは見間違いでも幻覚でもなかった。
  強い脈動が下腹をズクズクと疼かせ、奥に溜まった熱い欲望を吐きださせろと訴えているのが、本能ではっきりと理解できてしまう。
「んなっ……なっ、なに、よっ……これぇぇっ!  ひぐっ、んくぁぁぁっっ!」
  遠慮もなにもない、ミランダの指がその部分の先端を撫で上げた瞬間、たまらず腰が跳ねて嬌声がもれてしまった。
「くっ、くくくっ……その反応、やっぱり本物らしいね。オマ○コもクリちゃんも残ってるってのに、それとは別に生えてきたみたいじゃないか」
(んぅっっ……う、うしょぉ……こぇ、ほ……ほんもろぉ……?)
  膣口と陰核で挟まれるような位置でみっともなくそそり立ち、ヒクヒクと震えるそれは、紛れもなく男根だった。もっとも、これまでリヴィアが見てきた剛直と比べると、それは少年のモノのように短く細い。まだ年若いリヴィアの年齢を反映させたようなサイズで、膣を覆い隠す肉華弁のような包皮が、亀頭の半ばまで被っていた。
  亀頭の色も白の混じったピンク色で、包皮は肌と同じく透けるような白色。指でリングを作れば簡単に通せてしまいそうなほど細く、長さも二本の指で測れるほどしかない。そんな小さなペニスが勃起し、太い血管を浮かび上がらせているサマは、醜悪以前に滑稽でしかなかった。
  だがそのみっともない肉棒からはガチガチの鋼のような硬さが感覚として伝わり、激しく脈動しながら真上を向いて、さらに勃起を硬くしている。触れずともそうなるくらいに敏感なせいで、ミランダの指が桃色の粘膜を撫でると筆舌に尽くしがたい、感じたこともない肉悦が込み上げた。
「んひぃぃぃっっ!  いぁっ、ひゃっ、ひゃあぁぁぁんっっ!  やらっ、やぁぁつ!  にゃにっ、こえっ、へ……へぇんっ、へんりゃのっ、きへりゅぅぅっっ!?」
「おっと……なるほどね、そっちの機能もあるってわけだ」
  無様に喘ぎまくる少女の反応を愉しみながら、大胆にペニスを握って、包皮を激しく上下に揺すっていた女の手がパッと離れる。その瞬間、未知の快感に包まれて半ばまで込み上げていた熱い疼きが、根元に積み重なってゆくような感覚に襲われ、感じていた疼きが数倍にも濃度を増して身体を熱くさせた。胸の奥がキュゥゥッと締めつけられ、立っていられないほどに膝がカタカタと揺れる。
(はぐぅぅぅっ……んっ、あぅぅっ、なっ……なんらの、こへぇ……んひゅっ!)
  それは過去にも一度だけ経験のある、絶頂寸前で感覚を固定され、けしてイカせてもらえなかったあの切ない感覚と非常に酷似していた。見ればペニスの先端では、小さな口がトロトロと透明の蜜を吐きこぼし、短いながらも健気に硬くなった肉茎がビクビクと大きく暴れ回っている。
(ふへぇっ、んっ……そん、らあぁ……あぐっ、んくぅぅっっ……)
  まさかとも思ったが、これまで何度も目にしてきたそれの反応と比べると、やはり間違いはない。魔法薬によって肉体を改造されて生えたそれは、男の絶頂欲を訴えて、激しく震えているのだ。
「おやおやぁ、そんな気持ちよかったかい。だらしない顔でよがっちまってさぁ?」
  そんなリヴィアの自覚を悟ったのか、ミランダが嘲笑うような視線を向けて、ニヤニヤと唇を緩める。周囲の女からも同様の視線を浴び、カァァッと頬が熱くなった。
「ははははっ!  まるで童貞のガキだねぇ、小娘。あんたが元々イキやすいせいか、こっちもすぐにだしちまいそうじゃないか。どうだい、イカせて欲しいかい、ん?」
(ふっ、ぐっっ……んっ、だ、誰がっ……そんら、こ……くひぃぃっっっ!?)
  歯を食い縛って快感をこらえようとするが、裏筋に指が這うと、それだけではしたなく腰が振れてしまう。女が感じる悦びとは根本から質の違う快感を、どのようにこらえればいいのかがまるでわからない。いけ好かない女に指一本で弄ばれる屈辱に顔を歪ませるが、反抗するようなその表情もまた、股間に生える惨めな男根を触られると、たちまち淫らに緩まされてしまった。
「んひゃふぅぅぅっっ……あっ、あぁっ、はぅっ……んあぁぁぁ――っっ!」
「ふふふ、情けないもんだねぇ。女としちゃもうオシマイってくらい、下品な顔してるじゃないか。さて、と――」
  ひとしきりリヴィアを弄んだところで、ミランダが遠巻きにしていた男連中を振り返り、声高に問いかける。
「どうだい、こんな姿になってもまだ、この女を買おうって気があるのかい、あんたたちはさぁっ?」
  それはリヴィアの変化に対する嫌悪なのか、ただ女の迫力に怯えただけなのか、男たちはヒッと小さく呻いて、蜘蛛の子を散らすように逃げ去ってゆく。それを満足げに眺めていたミランダはやがてこちらに向き直り、ニヤァァッといやらしく唇を歪めた。
「さぁて、それじゃあ今度はあんたのほうだよ。小娘が……二度とここらで商売できないように、たっぷりと恥を晒してもらおうじゃないか」
「っ……なに、言って……んっくぅぅっ!  ふひぃぃっっ、いっ……ひぁっ!」
  代わる代わるに女たちの手がペニスを撫で、そのたびに迸る快感が容易くリヴィアの自由を奪う。その隙に、手の空いた女たちによって罪人へ架すような木の枷を取りつけられ、両腕は完全に背後で拘束される。首にはペット用の物と同じ皮の首輪を着けられ、そこに通されたリードをミランダの手に握られた。
「あぐぅっ……んっ、くふっ……こんなことっ……なんの真似よっ!」
「恥を晒してもらうって言ったろう?  ほら、ついてきな。歩かないってんなら、無理やり連れてってやるからね」
  グイッとリードを引かれ、まるで囚人の連行のように女の後ろに従わされる。イリーシャ様にもリードをつけられ、四つん這いで犬じみた散歩をさせてもらったことはあるが、それに似た行為をこんな連中にまでさせられるのは、腸が煮えくり返りそうだった。
(魔法さえ、使えたらっ……見てなさいよ、絶対にこの報いは受けてもらうから!)
  瞳を怒らせてヨロヨロと歩みを進める、そんなリヴィアの表情を周囲から何人もの視線が舐めるように見つめ、耳元にクスクスと忍び笑いを響かせていた。
「なぁに、そんな怖い顔して……あぁ、もっとしてもらいたいんだっけ」
「はぁっ?  ンなわけっ……きひぃぃんっっ!?」
  すり寄ってきた女の手が脇腹から伸び、歩くたびにピコピコと、犬の尻尾のように触れていた情けないペニスをしっかりと掴んだ。その瞬間、リヴィアは腰を跳ねさせてはしたない悲鳴をもらし、這い上がった快感に膝が震えてしまう。
(ふぐぅぅっっ、んっ、こ、声ぇ……あっ、やっ……やだっ、絶対……っっ!)
  ガクガクと脚を震えさせつつも、少しだけこちらを振り返ってニヤリと唇を歪めたミランダに反抗するように、懸命に歩みを進める。唇も引き締め、だらしない声をもらさないように歯を食いしばった。だが――。
「なになにぃ?  声ださないようにって、ムダな努力ぅ?  バッカみた〜い」
  男を嬲って快感に蕩けさせ、射精させることに長けた商売女たちのテクを前にしては、女性としての快感しか知らない少女の抵抗など、まるで無意味だった。
  一人の女が竿を指二本で扱き、別の女が反対側に回り込んで耳にしゃぶりつきながら、リヴィアの身体にまとわりつく精液を潤滑油に亀頭を捏ね回す。鈍く重い快感がお尻の奥に突き抜け、無意識に腰を振りたくりながら、少女の瞳は瞬く間に蕩けて細められ、唇は緩まされてゆく。
「んひっ、はっ……ふぁっ、はぁぁぁ……あぅんっ、んっ、んぅぅ――っ!」
  キュゥッと括約筋が締めつけられ、ペニスの奥から熱い疼きが這い上がってくる。だがそれを解放させるより早く、絶頂の気配を感じ取った女たちは巧みに手を離して快感を遠のかせ、焦れるように眉を潜める少女の顔を、ニヤニヤと眺めるばかりだった。
「あぁっ、んっ、ふっ……くふぅぅんっ……」
  ハッハッと荒い息を吐き、犬のように舌を伸ばして唾液をこぼすたび、頭の奥がトロトロに溶けて思考が薄れてゆく。その耳元に、嘲笑う女たちの声が響いていた。
「おいおい、触るのはかまやしないが、イカせちまうんじゃないよ」
「はーい、わかってますって♪  もれてるの、先走りだけですから」
「見た感じ、オシッコの穴がチンポに変わったってトコでしょうかね?」
  イキかけたリヴィアのペニスを、射精には至らぬよう亀頭の先を指で押さえて弄りながら、生え際の粘膜を間近で観察される。愛撫されるでも陵辱されるでもなく、ただ実験動物のように見られているという屈辱に歯噛みするも、主人によって被虐欲をその身に刻まれた魔少女は、その恥辱にさえ興奮を覚えて秘部を濡らし、ペニスを跳ねさせてしまう。
「んっっ、ふぅぅぅんっっ!  ふぅぅっ……うっ、くっ、くあぁっ……あぅんっ!」
(くっ、そぉっ……こんな、やつらに、なんてっ……ひふっ、ひあぁぁんっっ!)
  屈辱に唇が震え、腰が引けた情けない姿になってしまう。だが脚を進めさせるために、突きだされた尻は彼女らに叩かれ、その痛みまで快感に変換されながら、リヴィアはヨタヨタと内股で歩くしかなかった。
  砂利の多い路地を歩くリヴィアの足元は、普段のようなショートブーツではなく、娼婦らしく男受けするようなミュールを履いている。だがそれは、先ほどの輪姦の合間に吐きだされた男たちの精液でグチョグチョに汚れており、歩くたびに指の隙間でいやらしい粘質音が響き渡る。まるで指を一本一本舐められているような肉悦が爪先から這い上がり、お尻やペニスからの快感と絡みついて膣肉を蕩かせた。
「んくっ、ひゅっ……ひあぅぅんっっ!」
  ピュピュッ、ピュルルッッ!  と淫唇襞をヒクつかせて、開き切った淫肉の奥から牝臭漂う粘液が噴きこぼれる。まるで潮噴きと見紛うような淫芸に、女の数人が甲高く声を響かせ、リヴィアの淫裂を指差して笑い上げていた。
「きゃあっ!  すっご〜い、触ってないのに女の子でイッちゃった?」
「オチンポのせいで潮噴きできないから、愛液で代用したみたいね」
「あははっ、わっらえる〜♪  あたしたちでも真似できないわ」
「見てみて、オマ○コの辺り……ほら、本気汁泡立っちゃってる」
  射精を伴わないせいで、ペニスの根元は疼きっぱなしで、淫らな熱が渦を巻いているようだった。それなのに膣肉だけは満足そうに震え、地面に水滴の跡を残すように蜜液を垂らす。さらには、緩みきった肉華弁には白濁した粘っこい牝汁が絡みつき、濃厚な牝臭を漂わせている。それを声高に指摘され、嘲笑されても、反論できないくらい快感に侵されているリヴィアは悔しげに唇を噛み、はしたない芸を何度も披露せざるを得なかった。
「んふっ、ふぅっ、はっ……ひゃふぅぅうんっっ!  んんぐっ、くあぁぁ――っっ!」
  またしても弾かれたように腰が跳ね、ビクビクンッと大きく痙攣する。膝を躍らせて腰が砕けた瞬間、ボタタタッ!  と淫襞の奥からドロドロの愛液が滴り落ちた。辺りに広がる淫臭はリヴィアの鼻に届き、それが自らのいやらしさをこれでもかというほどに知らしめ、少女に無力さを刻み込んでゆく。
(ふぐぅぅぅっ……んくっ、くや、ひぃぃ……あひっ、ひぃぃぃんっっ!)
  牝悦の感覚に浸り、蕩けた表情を上向かせてお尻を背後に突きだしてよがってしまう。それを見咎めた女が亀頭を握り込むと、パクパクと開閉する尿口目がけ、細い指先を埋没させてきた。痛みのほうが遥かに凌駕する、雷撃の魔法を喰らったような刺激が局部に突き刺さる。もちろん射精などできるわけもなく、痛みに瞳は見開かれ、ヒューヒューと細い息を吐きもらしながら、リヴィアは涙を浮かべて頭を振り乱す。
「あきゅうぅぅっっ!  んくっ、ひっ、いぁっ、あぁぁぁ……」
  それでも、歩みを止めることは許されず、ミランダが手綱を引くと引きずられるように歩くしかない。首輪に圧迫される苦しさに咳き込みながら、なんとか内股で脚を進めると、細い路地を抜けて別の通りへ出ることになった。
「――えっ、あっ、そ……そんなっ、嘘っ……」
  日の沈んだ後とはいえ、売春街として知られるこの繁華街が、夜の帳に包まれていることはない。辺りは魔法や、あるいは燃料を注がれた街灯によって煌々と照らされており、多くの人が行き交って娯楽を求めているようだった。
  すでに酒に酔って別の店にハシゴする者、あるいはこれから店を探そうとする者、屋台などの開けた店でジョッキを傾ける者――そんな人々を呆然と見つめ、リヴィアはカタカタと膝を震わせていた。
「あっ、う……嘘、いや……やっ、やめ、なさいよっ……」
「おや、さすがは変態の売春小娘だね。なにをされるか、簡単に想像できたらしい」
  ニタァ……と、赤いルージュで塗りたくられた女元締めの唇が歪む。そして女は、少女が想像した通りの辱めを与えるべく、リードを掴んだまま街の広場のほうへ、一歩また一歩と歩みを進めてゆく。
  彼女は女性にしては背が高く、化粧とコロンの匂いで人目を引く上、さすがにギルドの幹部を務めるだけあって存在感が大きい。そんな大柄な女が娼婦を大勢引き連れていることもあって、ミランダが通りを歩くと自然と周囲の視線は集まっていた。
  つまり――人々の視線はミランダとその後ろを歩く、リヴィアの痴態に突き刺さっているということだった。
「うぉっっ!?  おいっ、あれっ!」
「あぁん?  んぶふぅぅっ!  ごほっ、げほっ……な、なんだぁ、ありゃっ……」
「ひっっ!  な、なによアレ、気持ち悪い……娼婦通りの新人っ?」
「なんでも流れの新参らしいよ。元締めに許可なくウリしてたんだってさ」
「はぁ〜、ベッピンなのに、あんなもんが……」
  さすがは歓楽街に住む人々らしく、ほとんど裸同然の格好で歩いていても、そのことでそこまで驚く者はいない。だが精液塗れになっている姿や、なにより魔法によって女体に生やされたペニスにはさすがに度肝を抜かれたらしく、興味深げに、あるいは嫌悪を浮かべて遠慮もなく視線を突き刺してくる。
(うぐっ、うぅぅ……み、見るなっ、見世物じゃないのよ!)
  なるべく局部を隠そうと、知らず知らずに背を負け、腰を引いてしまう。しかしその都度、女の一人が鞭を振るってリヴィアの尻肉を叩き、無理やり胸を張って歩かせようとしてくる。
「ほらっ、また背中曲げて!  しゃきっとしなさいよ、淫売!」
「くひゅぅっ!  んひっ、いっ……くぅっ、こ、のっ……ふやぁぁっ!?」
  たまらず視線を鋭くし、背後の娼婦を睨もうとした瞬間、なんの予兆もなく不意に尻穴を穿られ、甘い声が溢れてしまった。
  イリーシャによって何度も躾けられた尻穴は、リヴィアにとって膣肉以上に快感を味わえる性欲器官となっている。腸粘膜を引っ掻かれ、菊肉を奥の奥まで穿られ、尻穴を限界以上に押し広げられながら情けなく嬌声を上げるのが、毎日の日課のようになっていたこともあるのだ。だが――。
(んひぃぃぃっっ!?  あぃっ、へっ、なにっ、こえぇぇっっ!  ちがっ、違うぅっ!)
  女の指先でお腹側の菊肉を圧迫された瞬間、尿道を貫くように奔った甘刺激は、それまで感じた肉悦とはまったくベクトルが異なっていた。
「腰を突きだすのよっ、そのみっともない牝チンポ見せびらかして歩きなさい!」
「はひゃぁぁっっ!?  あひぃんっ、だめっ、らめりゃめぇぇっっ!」
  Gスポットを擦られる快感が、尿道の奥から溢れるような快感の波に、頭の中は瞬く間に真っ白に染められてしまう。全身の毛穴が開ききり、崩折れた膝がガクガクと揺れ、背筋を這い上がる蕩けるような快楽に、なんとも情けない声が喉からこぼれ落ちた。
「あびゃっ、はひゃぁぁぁ……あにっ、ひぐっ、ひぐぅぅぅんっっ……んぅぅっ!」
  ――ビュクビュクビュクゥゥッッ!  ビクッ、ドビュルルッッ!
「えっっ!?  あっ、やっ……ちょっと、なに勝手にイッてんのよ!」
  女の怒声が響くが、少女はもはや自分の身体になにが起こっているのか、まったく理解できていなかった。ただわかるのは、オシッコするたびにクリトリスをフェラチオされてしまっているような、とんでもない快感が尿道から噴き上がって全身を犯し抜いているということだけ。
「んひぃぃぃっ、ひはぁぁぁ――っっっ!  んぎっ、あひっ、はひぃぃいっっ……にゃにっ、なにこへぇぇっっ!  んぅぅぅつ、あっ、ああぁぁぁっ!  とまっ、とまりゃにゃいぃっっっ!  んでりゅっ、でるでるっ、でりゅぅぅぅんんっっ!」
  女の指を咥え込んだままの尻穴がキュゥゥッと締めつけられ、その奥から尿道向かって、何度も何度も甘い波が押し寄せる。そのたびにオシッコがもれるような刺激に襲われ、リヴィアは期せずして女が命じた、腰を突きだして背中を伸ばすという最低の情けない姿で小さな肉棒を晒し、腰を振り乱してしまう。
  ――ビュクビクンッッ、ビュッ、ビュゥゥッ、ピュルルッ!
「んんぅっ、はっ、あぁっ、はっ……あぐっ、うぅぅんっっ……んっ!」
  仕方がない、とばかりにため息を吐いた女がお尻の中で指を蠢かすと、肉棒が搾られるような感覚に捉われ、ペニスの奥からさらなる快感が流れだした。そうしてようやく、リヴィアは自身を襲った異変に気がつく。
(あひっ、ひゅっ……う、うしょぉぉ……あら、ひっ、いぃっ……しゃ、しゃせぇ……)
  周囲にムワァッと広がる栗の花臭を嗅ぎ、ペニスから滴る白濁液を見せつけられ、自分が射精してしまったことを理解した。愛液や体内の水分が薬によって精液に変えられたのか、その辺りはわからないが、お尻を穿られた快感がペニスを突き上げ、女の身でありながら牡恥を晒したという恥辱を実感し、リヴィアは顔を真っ赤に染めて涙ぐむ。
「んぇっ、う、うひょよ、こりゃ、のぉぉ……んくっ、あぁぁっ!」
  薬の効果なのか、圧倒的な快感をともなって射精したというのに、ペニスは萎えるどころかさらに硬くなって、ビクビクと躍動する。振り返ったミランダはそんなリヴィアの股間を睨み、撒き散らされた精液の跡を見て、それを導いた娼婦に視線をやった。
「す、すみません、ミラ姐さん!  まさか前立腺まであるなんて……」
「ふぅ……まぁいいさ。それがわかったのも面白いし、一回は男の気持ちよさってのを味わわせないと、しっかり仕置きもできないだろうからね」
  穏便な言葉に頭を下げ、もう余計なことはしないとばかりに、女はリヴィアから離れてゆく。だがそんなことなどまるで気にも留められず、リヴィアは頭が灼けるような淫熱に焦がされ、朦朧としながらなんとか立っているという有様だった。
「はぐっ、んっ……んあぁぁ、はふっ、あぅぅんっ……」
「おやまぁ、蕩けた顔しちまって……そんなに精通したのが気持ちよかったかい?  まったく、ケツマ○コ穿られて精通迎えるような淫乱チンポは、世界中探したってあんたのそれくらいのもんだろうさ」
「んはっ……ひきぃぃんっっ!」
  嘲笑されながら、ペニスを指で弾かれ、快感と痛みに包まれながら悲鳴を上げる。その姿に、周囲の女たちがケラケラと下品な笑いを投げかけた。
「それに見なよ!  あんたのだらしない射精ショーのせいで、街の連中の酒盛りも台無しじゃないか!  詫びの一つも入れたらどうだい、変態小娘!」
「ぇ――あっ、うっ……くぅっ、うぅぅっ……」
  言われてからようやく、その場所が街の大通りだったことを思いだす。ミランダの言葉通り、周囲の一般人は酒を飲む手も止めてリヴィアの痴態に見入り、蔑むような、見世物を愉しむような視線を送り続けている。
(あ、たしっ……なんて、姿を……こんなこと、イリーシャ様にっ……)
  主人に顔向けできないような醜態を晒したことを恥じ、悔いながらブルブルと震え、唇を噛んで俯く。だがひと言だけ、目の前の女元締めに向けて吐き捨てるように告げた。
「あ……あんたとこの、淫売のせいでしょうがっ……あたしは悪くないわよ!」
「あーあ、そうだったねぇ。小娘の未精通チンポが驚くくらい早漏だったからって、そりゃああんたの責任じゃなかったよ。こっちのテクがよすぎたってことだろうね」
「な――」
  反抗的な言葉を予期していたようにミランダが声高に叫ぶと、辺りからは男女問わず、ドッと喝采と笑い声が響き渡った。
「あっははははは!  その通りだぜ、姐さんよ!」
「早漏に罪はねぇ!  あんたとこの女にゃ、俺もしょっちゅう秒殺されるからな!」
「くふっ……くくくっ、あのコ、かっわいいっ……」
「真っ赤になって『悪くないわよ!』だなんて……あ〜っ、おっもしろいっ♪」
  口々に叫ばれる冗談に羞恥が込み上げ、爪先から頭のてっぺんまで、リヴィアは茹で上がったような朱に染まり、立ち尽くすばかりだった。
(うっ、ぐっっ……最ッ低ッッッ……この街の人間、全員ブチのめして――ふぐっ!?)
  心の中で毒吐くことも許さないというように、ようやくミランダの手が再度リードを引き始めた。つんのめるようになりながらも脚を進めると、そそり立った短小ペニスが上下に振れ、根元に向けて奇妙な快感を注ぎ込んでくる。
「早漏チンポにお似合いの仕置きを思いついたんでね、広場のほうへ行くよ」
「あ!  ってことはあれですか?」
「それじゃ、準備してきますね♪」
  嬉しそうに頬を緩めた女たちが先行し、広場とやらのほうへ走ってゆく。その姿に彼女らの嗜虐的な欲求が見え隠れし、リヴィアは思わず背筋を震えさせた。
(あれって……なによ、いったいっ……)
  イリーシャの調教によって少しは快感にも慣れていたはずだが、男性器を責められるなど本当に初めてのことで、この先なにをされるのか想像すらできない。しかもいましがた味わったばかりの牡快楽は、いまだに脳裏と身体にしっかりと爪跡を残し、思いだすだけで腰が崩れ落ちそうなほど、甘い疼きを放っている。
(あんなのを、これから何回も……そんなの、絶対……っ)
  ゾクッと背筋が震え、無理やり進まされる足が止まりそうになる。だがその弱気を意地だけで抑え込み、リヴィアは唇を噛んで顔を上げた。
(ダメよっ!!  こんな連中に弱気を見せたら、それこそオシマイなんだからっ……)
  臆すれば、いま以上に屈辱を強いられるのは明白だ。心だけは屈するまいと再び心を引き締め、情けなく腰を引いたりせず、胸を張って堂々と道を歩きだす。
「おやぁ?  その子供チンポを晒すのが、クセになっちまったみたいだねぇ」
「……勝手に言ってなさい、この年増」
  相手への反抗を露わにするが、妙なことにミランダは制裁を加えようとはしなかった。むしろ、そんなリヴィアの強気を見て嬉しそうに、ニヤニヤと頬を緩めている。
(いったいなんのつもりよ……ぁ――)
  そうしているうちに目的地に着いたのか、リードを強く引かれてたたらを踏んだところで、女の足が止まってこちらを振り返った。
「ここが広場さ。昼間はマーケットに使われてるんだがね、夜はウチが借り上げて、野外プレイなんかのステージにしてるってわけさ。こういうのを使ってねぇ」
  客席が並び、広場の中央に組まれた小さなステージには、すでに数人の娼婦がスタンバイしている。だがリヴィアの注意を惹いたのは彼女らの姿ではなく、壇上の最前列に置かれた、ギロチン台のような拘束椅子だった。
(な……なんなのよ、あれはっ……よく見たら、椅子でもないし……)
  本来のギロチン台であれば、首と手の拘束枷は下方に設置されているはずだ。しかし目の前のそれは枷が上のほうに置かれ、革のベルトや木の柱で組まれた背もたれが用意されていた。その場所に立ち、手足を拘束するための道具が、数種類仕掛けられている。
  そして椅子だと思わされた最大の要因、丸いクッションのように見えたそれは、背もたれから少し空間を挟んで前方に置かれていた。高さはちょうどリヴィアの腰辺りで、横倒しになった短い丸太のような形状をしているのがわかる。とはいえ、白いシーツに覆われているせいで、その材質まではわからないのだが。
「……なんのつもり、ここに座らせて拷問にでもかけようっての?」
「拷問ねぇ……ま、そのうちそう感じるようになるかもしれないけど、本来の目的は違うよ。こいつはウチでもかなり人気のあるサービスの一つなのさ」
  どうにも話が見えてこない。だが訝しむ暇も与えられず、リヴィアはリードを引かれて拘束台の背もたれに押しつけられると、太ももと腕を革ベルトで、背後の木柱に繋がれてしまう。さらに手首と首が木の枷に填められると、もはや死刑囚か囚人かという有様だった。
「くぅっ……はっ、やっぱり拷問じゃない。窮屈で仕方ないわね、ったく……こんなのが人気のサービスだなんて、あんたの店も底が知れるわ」
  思った以上にベルトの締めつけは強く、腕はほとんど動かない。わずかに自由なのは、前後に軽く動く腰回りだけ。そんな不自由さへの不平を、相手をこき下ろすように口にしたつもりだったが、ミランダも周囲の女たちも、ニヤニヤとしたいやらしい笑みを絶やそうとはしない。
(気味の悪いっ……いったいなにを企んでるのよっ……ん?)
  そのとき不意に、周囲がザワザワと騒がしくなってくるのを感じた。
  声と足音、そして大勢の人が近づいてくる気配に、リヴィアは大通りとは反対に伸びる細い道へ視線を向け――。
「――っっ!?」
  思わず戦慄し、背筋をゾクリと震えさせる。
「なっ……う、嘘でしょ、そんなっ……」
「ふふ、いきなり告知したわりには、随分と集まってくれたようだね。あれが今回のお客さんだよ、あんたっていうみっともない見世物を愉しみに来た……好色なご婦人方さ」
  ミランダが告げると同時に半円形のステージを取り囲んで、一斉に松明が灯された。もちろん、ステージから客席は見えにくいように、客席のほうはほとんど照らされてはいない。当然だろう、ここは客が見世物を愉しみステージであって、見世物がお客様を眺める必要などないのだから。
「まぁまぁ、ヒドいわぁ。ミランダさんったら」
「好色なのは否定しませんけれどね。それより今夜は、いつもと趣向が違うとか?」
「今日のステージはお休みと伺っていましたから、これは嬉しいサプライズですこと」
  ミランダの言葉に反応する女たちは、誰もが華やかなドレスで着飾っていた。ただその顔だけは各々が用意した仮面や帽子で深く隠され、たとえ傍に顔見知りがいたとしても、互いに判別がつかないように工夫されている。
  総勢二十名ほどの、そんな小金持ち風の女たちが席に着いたところで、ミランダが小さく、けれど客席にはしっかりと響く声音で語り始めた。
「急な開催にもかかわらず、ステージまでご足労いただき、誠にありがとうございます。さて、ここに捕らえられたる哀れな小娘は、女でありながらなんと!  立派な――いいえ、失礼いたしました。みすぼらしいチンポを生やした、世にも珍しい存在!」
  そう声高に叫んだ瞬間、腰の前に置かれていた白い布をかぶった台がスライドし、リヴィアの股間は観客の前へ晒しものにされる。それを見るや女たちは驚嘆すると同時に、女元締めの紹介通りのペニスを確かめて、ドッと下品な笑いを響かせた。
(っっ……か、関係ない、関係ないわっ……こんな、魔法で生えたモノなんて……あたしとなんの関わりもないんだから、どうとも思わないわよっ……)
  そう心に言い聞かせながらも、貧乳をコンプレックスにしていた過去がフラッシュバックし、まるでそれを嘲笑されているような錯覚を感じさせられる。ケラケラと笑い、こちらを凝視して揶揄する言葉の数々に、羞恥と怒りがこみ上げて頬が熱く火照った。
「まぁ本当!  あれだけ可愛らしい女の子なのに、チンポが生えているわ!」
「小さくて見えにくいけれど、確かに勃起しているようですね」
「いやらしいのねぇ、さすがは変態だわ。うふふ、ちょっと味見してみたいかも」
  口々にささやき盛り上がる客席、それを見つめながら頃合いを計り、ミランダは台にかけられていた白い布を一気にめくり上げた。
「それでは皆様、心ゆくまでご覧ください!  子供チンポで懸命にオナニーをする……変態小娘の、痴態のすべてを!」
「ぇ――なっっ!?」


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